ありがたいことに、10月1日から新しいスタッフが入ってきてくれました。
新しいスタッフが入ると、当然、新人研修が始まります。
仕事の流れ。
患者さんへの対応。
施術について。
訪問で気をつけること。
覚えてもらわなければいけないことは、たくさんあります。
でも私は、一番最初にそれらを教えるわけではありません。
新人スタッフに一番最初に伝えるのは、会社の理念です。
最初だからこそ、理念を伝えたい
なぜ一番最初なのか。
一つは、最初に聞いたことは印象に残りやすいと思っているからです。
入社して最初の日に、
「この会社では、これを大切にしているんだよ」
ということを、経営者である私自身の言葉で伝える。
私はここを結構大切にしています。
理念を紙で渡して、
「読んでおいてください」
で終わりにはしません。
なぜこの理念なのか。
なぜこの言葉を使っているのか。
仕事の中でどうつながっているのか。
そこまで自分の言葉で話します。
理念って、掲げているだけでは意味がないと思うんですよね。
日々の判断に使われて初めて、理念になる。
だから最初に、その土台を共有しておきたいんです。
私たちの理念は「らしい生活を送っていただき、明るい日本を創造する組織」
現在、私たちが掲げている理念は、
「らしい生活を送っていただき、明るい日本を創造する組織」
です。
短い言葉ですが、一つひとつに意味があります。
今回入社してくれたスタッフにも、この言葉を分解しながら話しました。
「らしい生活」には正解がない
まず、
「らしい生活」
についてです。
人の人生観って、本当にそれぞれだと思います。
できるだけ長く健康に生きたい人もいる。
長さよりも、今やりたいことを大切にしたい人もいる。
多少体に負担がかかっても趣味を続けたい人もいる。
なるべく安全に、穏やかに生活したい人もいる。
どれが正しいという話ではありません。
その人が何を大切にして生きたいのかによって、目指すゴールは変わります。
これは施術にも関係します。
例えば、施術者から見れば、
「もっと歩けるようになった方がいい」
と思うかもしれません。
でも本人は、そこを一番求めているとは限りません。
反対に、多少リスクがあったとしても、
「自分の足でここまで行きたい」
ということを大切にしている人もいるかもしれない。
だから私たちは、自分たちが考える「良い生活」を患者さんに押しつけるのではなく、
「この人にとって、その人らしい生活って何だろう」
と考える。
そこを大切にしています。
だから、声のかけ方も施術も変わる
目指している生活が違えば、施術者がすることも変わります。
どんな言葉をかけるのか。
何を目標にするのか。
何を優先して施術するのか。
日常生活で何を提案するのか。
全部同じにはなりません。
病名が同じだから、同じ施術。
年齢が同じだから、同じ目標。
そういうことではないと思っています。
目の前にいる患者さんが、これからどんな生活を送りたいのか。
そこを聞きながら考える。
だから「らしい生活」という言葉を使っています。
「送っていただき」という言葉にも意味がある
次に、
「送っていただき」
という部分です。
これも、あえて選んでいる言葉です。
なぜ「送っていただく」なのか。
それは、
私たちは常に謙虚でありたいと思っているからです。
私たちが患者さんの人生を作っているわけではありません。
患者さん自身の人生があって、生活があって、そこに私たちが関わらせていただいている。
私は、その感覚を忘れたくありません。
施術者として経験を積んで、できることが増えてくると、どうしても自信がついてきます。
自信を持つこと自体は悪いことではありません。
でも、自信がいつの間にか、
「自分が治している」
「自分がこの人を良くしている」
という感覚になってしまうと、少し違うと思っています。
謙虚でいることは、成長するためでもある
私は、謙虚でいることは患者さんへの姿勢だけではなく、自分自身が成長するためにも必要だと思っています。
「自分はまだ分からないことがある」
「もっと良いやり方があるかもしれない」
「患者さんから教えてもらうこともある」
そう思えていれば、勉強を続けられます。
スタッフ同士からも学べます。
そして、仕事をさせていただけていることへの感謝も持ち続けられる。
だから、
「らしい生活を送らせる」
ではなく、
「らしい生活を送っていただく」
という言葉にしています。
なぜ「明るい日本」なのか
そして、
「明るい日本」
という言葉。
これは少し大きな話に聞こえるかもしれません。
でも私は、本気でそう考えています。
世の中には、病気や障害、加齢などによって、普通に日常生活を送ることが難しくなっている方がたくさんいます。
私たちが目の前の患者さんに全力を尽くす。
これは当然です。
でも、
「今担当している患者さんが良ければ、それでいい」
だけではないと思っています。
まだ私たちと出会っていない人もいる。
困っているけれど、どこに相談したらいいか分からない人もいる。
そういう方にも、私たちができることを届けられるようにしたい。
目の前の一人に全力を尽くしながら、その先にいる人たちにも届く組織を作る。
その積み重ねが、少しでも明るい日本につながればいい。
そんな意味を込めています。
一人ではできないから「組織」にした
そして最後が、
「組織」
です。
明るい日本を作る。
そんなこと、一人でできるわけがありません。
私一人がどれだけ頑張っても、施術できる人数には限界があります。
だから、仲間が必要です。
同じ考え方を大切にしながら働ける人が増えれば、その分だけ関われる患者さんも増えていきます。
そして私は、単純に人数を増やしたいわけでもありません。
同じ志を持った人たちが、お互いを尊重しながら高め合える組織を作りたい。
そう思っています。
一人では気づけないことを、誰かが教えてくれる。
自分が苦手なことを、誰かが補ってくれる。
逆に、自分が得意なことで誰かを助ける。
そういう仲間と仕事ができること自体、私は楽しいことだと思っています。
理念は、暗記してもらうためのものではない
新人スタッフに理念を話す時、私は別に一字一句暗記してほしいわけではありません。
理念を言えるかどうかのテストをしたいわけでもありません。
大切なのは、仕事をしていて迷った時です。
この患者さんには何をしたらいいんだろう。
どこまで自分で判断していいんだろう。
患者さんと自分の考えが違った時、どうしたらいいんだろう。
そんな時に、
「うちの会社は何を大切にしていたっけ?」
と戻ってこられる。
理念は、答えを全部書いてあるマニュアルではなく、迷った時に戻る方向だと思っています。
だから新人研修の一番最初に話す
技術は、これからいくらでも教えられます。
仕事の手順も、繰り返せば覚えられます。
患者さんへの対応も、経験しながら上手になっていきます。
でも、その土台にある、
「何のためにこの仕事をしているのか」
という部分が共有されていなければ、同じ出来事を見ても判断が少しずつズレていきます。
だから私は、新人スタッフが入ってきた時、一番最初に理念を話します。
「らしい生活を送っていただき、明るい日本を創造する組織」
なぜ「らしい」なのか。
なぜ「送っていただき」なのか。
なぜ「明るい日本」なのか。
なぜ「組織」なのか。
そこまで自分の言葉で伝えます。
今回入ってきてくれたスタッフにも、まずここから話しました。
これから仕事を覚えていく中で、迷うことも、失敗することもあると思います。
その時に、細かいルールだけではなく、
「私たちは何を大切にして仕事をしているのか」
というところに戻ってきてもらえたらいい。
新人研修で理念を一番最初に伝えるのは、そのためです。

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