スタッフに対して、
「もっと主体的に動いてほしい」
と思っている経営者って、結構多いんじゃないかなと思います。
言われたことだけをやるのではなく、自分で考えて動いてほしい。
問題があったら、自分から改善してほしい。
新しいことにも挑戦してほしい。
経営者からすれば、そう思いますよね。
では、そういうスタッフになってもらうために、どんなマネジメントをすればいいのか。
私はまず、
「そもそも人が主体的に動けるのは、どういう状態なんだろう?」
というところから考えます。
人はどんな時に「自分からやってみよう」と思うのか
自分自身に置き換えてみると分かりやすいと思います。
何かをやっていて、
「これ面白いな」
「こうしたら、もっと良くなるんじゃないか」
「これができるようになったら楽しそうだな」
と思っている時って、誰かに言われなくても自分から考えますよね。
調べる。
試してみる。
人に聞く。
また違う方法を考える。
私は、こういう前向きな感情がある時の方が、人は主体的に動きやすいと思っています。
反対に、
「失敗したら怒られる」
「どうせ言っても聞いてもらえない」
「余計なことをしたら怒られる」
と思っている状態で、
「もっと主体的に動いて」
と言われても、なかなか難しいですよね。
主体性を求めるなら、まずその人が「自分から動いてみよう」と思える状態なのかを見る。
私はそこが大切だと思っています。
同じ出来事でも、人によって見え方が違う
もう一つ、私がスタッフを見る時に意識していることがあります。
何か一つ問題が起きた時、その人がどう捉えるかです。
例えば今までやったことのない仕事を任されたとします。
その時に、
「いや、それは難しいです」
「自分には無理です」
「今でも忙しいのに、これ以上はできません」
と考える人もいます。
一方で、
「これができるようになったら面白そうだな」
「今はできないけど、どうしたらできるだろう」
「これができたら次につながりそうだな」
と考える人もいます。
起きている出来事は同じです。
でも、その人がどう捉えるかによって、その後の行動はかなり変わります。
「できない理由」を探していること自体が悪いわけではない
ただ、ここは少し注意したいところです。
私は、スタッフが、
「これは難しいです」
「今の状況ではできません」
と言うこと自体が悪いとは思っていません。
本当に人手が足りないかもしれない。
時間が足りないかもしれない。
会社の仕組みに問題があるかもしれない。
本人が不安を感じるだけの理由があるかもしれません。
そこを全部、
「考え方がネガティブだからだ」
で片づけてしまったら、それも違うと思います。
大切なのは、話を聞いた上で、
「できない」で思考が止まっているのか、それとも「どうしたらできるか」まで考えられているのか。
そこを見ることです。
主体性を変えたいなら、その人の「物の見方」を見る
だから私は、スタッフにもっと主体的に動いてほしいと思った時、行動だけを変えようとはしません。
「もっと自分から動いて」
「もっと考えて」
「もっとチャレンジして」
と何度言っても、本人の中の物の見方が変わっていなければ、なかなか行動は変わらないと思うからです。
何かが起きた時、この人はどう考えるんだろう。
できない理由から考えるのか。
できる可能性から考えるのか。
失敗をどう捉えているのか。
新しい仕事をどう捉えているのか。
そもそも仕事をどう捉えているのか。
一人ひとり違います。
だからまず、その人がどういう物の見方をしているのかを知る。
私はそこから始めます。
人の考え方を変えるのは、そんなに簡単ではない
もちろん、
「じゃあポジティブに考えよう」
と言えば変わるほど簡単な話ではありません。
その人が今まで生きてきた中で、考え方や物事の捉え方は作られています。
だから、それを経営者が簡単に変えられるとは思っていません。
むしろ、かなり時間がかかることもあります。
本人が変わりたいと思っていなければ、難しいこともあります。
それでも、本人と話しながら、
「こういう見方もあるんじゃない?」
「今回できたこともあるよね」
「前よりここは良くなってるよ」
と違う視点を渡していくことはできます。
そして、その人自身の物の見方が少しずつ変わってくると、行動も変わってくる。
私は実際にスタッフと関わっていて、そこはすごく感じています。
車で言えば「エンジン」が変わるようなもの
私はこれを車に例えることがあります。
「もっと動いて」
「もっと頑張って」
と外から言い続けるのは、車を後ろから押しているようなものかもしれません。
押している間は進みます。
でも、経営者が押すのをやめたら止まってしまう。
一方で、その人自身が、
「やってみたい」
「面白そう」
「もう少しやってみよう」
と思えるようになれば、自分で進み始めます。
車で言えば、エンジンそのものが変わるようなイメージです。
私は、マネジメントでここまで関われると、スタッフの行動はかなり変わると思っています。
でも、エンジンだけでは車は走り続けない
ただ、エンジンが良くなったとしても、それだけでは車は走り続けられません。
ガソリンが必要です。
では、スタッフにとってのガソリンは何なのか。
私は、その一つが、
「ちゃんと見てもらえている」という感覚
だと思っています。
だから私は、スタッフを日頃から褒めることをかなり大切にしています。
何か大きな結果を出した時だけではありません。
以前できなかったことができるようになった。
患者さんへの説明が上手になった。
自分から動いてくれた。
周りを助けていた。
考え方が少し変わった。
そういうところを見つけたら、できるだけ本人に伝える。
「ちゃんと見ているよ」
ということを伝えるんです。
褒めるのは、機嫌を取るためではない
ただ、何でも褒めればいいとは思っていません。
できていないことまで、
「すごいね」
と言う必要はありません。
それでは褒めること自体が軽くなってしまいます。
私が大切だと思っているのは、実際に見て、変化や行動を具体的に伝えることです。
「あの時、自分からこう動いてくれたの良かったよ」
「前よりここ、かなりできるようになったね」
と伝える。
そうすると本人も、
「この方向でいいんだ」
と確認できます。
自分では気づいていなかった成長に気づくこともあります。
褒めるというより、本人の成長をちゃんと見つけて返してあげる。
私はそんな感覚に近いです。
主体性がないと嘆く前に、経営者側も考える
スタッフが主体的に動かない。
自分から考えない。
言われたことしかやらない。
経営者をしていると、そう感じることもあると思います。
でも、その時に、
「最近のスタッフは主体性がない」
で終わらせるのは簡単です。
私はその前に、経営者側にも考えられることがあると思っています。
そのスタッフが何を考えているのか、ちゃんと知ろうとしただろうか。
何かに挑戦した時、結果だけではなく過程も見ていただろうか。
失敗した時、次も挑戦したいと思えるような対応をしただろうか。
良かったところを、本人に伝えていただろうか。
そもそも、その人が仕事を面白いと思える環境を作れているだろうか。
そういうところを一度考えてみてもいいと思います。
スタッフを変える前に、スタッフを見る
主体的に動くスタッフを育てたい。
そう思うこと自体は、私は悪いことではないと思っています。
ただ、
「もっと主体的に動いて」
と要求するだけでは、なかなか変わりません。
その人がどういう物の見方をしているのか。
何を怖がっているのか。
何を面白いと思うのか。
何を認めてもらえたら嬉しいのか。
一人ひとり違います。
だからこそ、まずその人を見る。
そして、できていることはちゃんと伝える。
背中を押す。
必要なら違う物の見方を一緒に考える。
私はそういうことも、スタッフマネジメントだと思っています。
スタッフに主体性を求める前に、その人が自分から動きたくなるような関わりを、経営者側ができているか。
一度立ち止まって考えてみると、見えてくるものがあるかもしれません。

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