求人で理念ばかり語っても意味がない|会社の価値観は「仕組み」に出る

前回、給与や福利厚生で大手に勝てない小さな会社ほど、理念や経営者自身の考え方を求人で伝えた方がいい、という話を書きました。

私は今でも、これはすごく大切だと思っています。

この会社は何を大切にしているのか。

どんな社会を作りたいのか。

どんな人たちに貢献していきたいのか。

経営者は何のために会社をやっているのか。

そういう部分に共感できることは、働く上で大きなモチベーションになると思います。

だから求人でも、理念や経営者の価値観はしっかり伝えた方がいい。

ただ、だからといって、

理念さえ立派なら、働く条件はどうでもいいという話ではありません。

目次

理念に共感して入ったら、ブラック企業だった

どれだけ素晴らしい理念を掲げていても、実際に入社したら、

休めない。

残業ばかり。

給与について説明がない。

困った時にも会社が守ってくれない。

そんな会社だったら、働く側からすれば困りますよね。

スタッフにも生活があります。

家族がいる人もいます。

子育てをしている人もいる。

自分の時間を大切にしたい人もいる。

会社に対して、

「安心して働ける環境を整えてほしい」

と思うのは、当然のことだと思います。

理念に共感していることと、安心して働けること。

私は、どちらか一つを選ぶ話ではないと思っています。

会社の価値観は、言葉より仕組みに出る

そして最近、特に思うことがあります。

会社が本当に何を大切にしているのかって、理念の文章だけに出るものではないんですよね。

実際には、会社の「仕組み」にかなり出ると思っています。

例えば勤務時間。

休日。

有給休暇。

給与。

研修。

仕事の任せ方。

困った時に誰がフォローするのか。

こういうものを一つひとつ見ていくと、その会社が何を大切にしているのかが見えてきます。

「スタッフを大切にしています」は簡単に書ける

求人に、

「スタッフを大切にしています」

と書くこと自体は簡単です。

でも、本当に大切にしているかどうかは、入社すれば分かります。

スタッフが休みたいと言った時にどうするのか。

体調を崩した時にどうするのか。

失敗した時にどう対応するのか。

新人がまだ一人で対応することに不安を感じている時に、どうするのか。

会社の都合を優先するのか。

それとも、スタッフの状況も考えながら仕組みを作るのか。

経営者が本当に何を大切にしているのかは、こういうところに滲み出ると思っています。

売上を大切にすることが悪いわけではない

もちろん、会社なので売上は必要です。

利益も必要です。

売上がなければ給与も払えませんし、スタッフを守ることもできません。

だから、売上を考えること自体が悪いわけではありません。

問題は、その優先順位です。

スタッフから見て、

「結局この会社は、売上のことしか考えていないんだな」

と感じる仕組みになっているのか。

それとも、

「会社として数字は大切にしている。でも、自分たちのこともちゃんと考えてくれている」

と感じられるのか。

これは経営者がどれだけ良い言葉を話すかではなく、日々の会社運営から伝わるものだと思います。

理念と仕組みがズレていると、スタッフには分かる

例えば、

「スタッフの人生を大切にします」

と会社が掲げている。

でも、いつも長時間労働を求められる。

「成長を大切にします」

と言っている。

でも、研修する時間は全部勤務時間外。

「家族のような会社です」

と言っている。

でも、困った時には誰も助けてくれない。

こうなってしまうと、いくら立派な理念を語っても説得力がなくなります。

スタッフは理念を、言葉だけで判断しているわけではありません。

会社が日々どんな判断をしているかを見ています。

求人は、入社後に答え合わせされる

これは求人にも同じことが言えます。

求人では、いくらでも良いことを書けます。

理念に共感できる会社。

スタッフを大切にする会社。

成長できる会社。

働きやすい会社。

でも、それが本当かどうかは入社すれば分かります。

だから私は最近、入社した新人スタッフにも、

「求人を見て想像していた会社と、実際に働いてみてズレはない?」

と聞くようにしています。

求人で書いていることと、実際の会社をできるだけ近づけたいからです。

求人は応募されたら終わりではなく、入社した後に答え合わせされます。

定着率が悪いなら、求人だけの問題ではないかもしれない

応募が来ない。

採用しても辞めてしまう。

スタッフがなかなか定着しない。

そんな時、求人文章を変えようと考えることもあると思います。

もちろん、それも必要です。

でも、定着しないのであれば、求人だけを直しても解決しないことがあります。

なぜなら、入社後にスタッフが見ているのは求人文章ではなく、実際の会社だからです。

勤務時間はどうなっているのか。

休みは取れるのか。

給与はどう決まるのか。

頑張った人をどう評価するのか。

新人をどう育てるのか。

失敗した人をどう扱うのか。

意見を言った時に、経営者は聞いてくれるのか。

そういう一つひとつから、

「この会社は自分たちをどう考えているのか」

を感じ取っていると思います。

まず経営者自身の考えを洗い出した方がいい

だから、もしスタッフの定着率があまり良くないのであれば、

私は一度、求人文章を直す前に考えてみてもいいと思っています。

自分は、スタッフをどう考えているのか。

会社にとってスタッフとはどういう存在なのか。

売上とスタッフの生活がぶつかった時、どちらをどう考えるのか。

どんな働き方をしてほしいのか。

どこまで会社がスタッフを支えるのか。

逆に、スタッフには何を求めるのか。

そこが自分の中で曖昧なまま、

「スタッフを大切にする会社です」

と求人に書いても、どこかでズレが出てきます。

求人を直す前に、まず経営者自身の考えを整理する。

その方が先なのかもしれません。

理念は「言うもの」ではなく「会社に落とし込むもの」

私は理念を大切にしています。

新人スタッフが入ってきた時にも、一番最初に理念について話します。

会社として何を大切にしているのか。

どういう社会を作りたいのか。

どういう人たちに貢献していきたいのか。

そこはこれからも、しっかり伝えていきたいと思っています。

でも、それと同じくらい、

その理念が会社の仕組みに反映されているか。

を考える必要があると思っています。

理念では人を大切にすると言っている。

では、勤務時間はどうなのか。

休日はどうなのか。

教育はどうなのか。

給与はどうなのか。

困った時のフォローはどうなのか。

一つひとつの仕組みに、経営者の価値観は出ます。

経営者の本音は、結局どこかに滲み出る

求人文章だけをきれいに作っても、長くは隠せないと思います。

本当にスタッフを大切にしているのか。

売上だけを見ているのか。

成長してほしいと思っているのか。

安心して長く働いてほしいと思っているのか。

経営者自身が何を大切にしているのかは、給与や休日だけではなく、会社のいろいろなところに滲み出ます。

だから私は、

理念と条件を別々に考えない方がいいと思っています。

理念を言葉で伝える。

そして、その理念を仕組みでも伝える。

求人では、その両方を正直に見せる。

それができれば、入社した後にも、

「求人で言っていたことと違う」

ではなく、

「本当にこういうことを大切にしている会社なんだな」

と思ってもらえる。

私は、そんな会社にしていきたいと思っています。

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