腰が痛いから腰を揉む。それで変わらない時に私は何を見るか

腰が痛い患者さんが来た。

腰や臀部をマッサージする。

その場では少し楽になった。

でも、2〜3日するとまた痛みが戻ってしまう。

施術をしている方なら、こういう経験は結構あると思います。

では、そんな時にどうするか。

もっと腰を揉むのか。

もっと強く揉むのか。

私はそれよりも、

「腰以外に、腰へ負担をかけている場所はないだろうか」

と考えるようにしています。

目次

腰痛の背景は一つではない

腰痛といっても、その背景はいろいろあります。

例えば、私は胸郭の位置を見ます。

横から見た時に胸郭が前方へ偏っていたり、体幹全体が前へ倒れやすい状態になっていたりする。

そうすると、その姿勢を支えるために腰背部の筋肉が働き続けている可能性があります。

私はそこで、

「腰が硬いから腰が悪い」

ではなく、

「もしかしたら腰は、前へ行こうとする体を後ろから支えているだけなんじゃないか」

と考えます。

だとしたら、腰を緩めるだけではまた戻ってしまうかもしれません。

股関節が動かない分を、腰が補っていることもある

もう一つよく見るのが股関節です。

例えば、しゃがむ動作を考えてみてください。

本来は股関節も曲がりながら体を下げていきます。

ところが、股関節をうまく使えなかったり、動きが小さかったりする方もいます。

そうすると、その足りない動きを別の場所で補う必要が出てきます。

その一つが腰です。

股関節で動けない分、腰椎や骨盤周辺の動きが増えているのかもしれない。

そんな仮説を持ちます。

だから腰痛の患者さんでも、私は股関節を確認します。

さらに下の足首から考えることもある

もっと下を見ることもあります。

例えば、昔から何度も足首を捻挫している方。

触ってみると左右で足関節の安定性や動き方がかなり違う。

すると、

「この左右差を上の関節で補っていないかな」

と考えます。

足元で左右差があれば、立った時の骨盤や体幹の使い方にも違いが出ているかもしれません。

そして、その補い方によって片側の腰部に緊張が集中している可能性もあります。

もちろん、

「昔の捻挫が今の腰痛の原因です」

と決めるわけではありません。

足首を一つの情報として見て、実際の立ち方や骨盤、股関節、腰部の状態とつながるかを確認していきます。

腰痛なのに、首まで見ることもある

場合によっては、頸部まで見ます。

首や胸郭に回旋の偏りがあれば、その下の脊柱や骨盤はどうなっているだろう。

立った時、歩いた時に、どこでそのねじれを補っているんだろう。

そんなことも考えます。

だから私の中では、

「腰痛だから腰を見る」

ではありません。

「腰が痛くなるような体の使い方になっていないか、全身を見る」

という感覚に近いです。

腰を揉んで楽になること自体は悪くない

もちろん、腰や臀部をマッサージすることを否定しているわけではありません。

筋緊張が強ければ、マッサージをしてその場で楽になる方もいます。

それで十分な場合もあります。

ただ、毎回同じところを揉んで、毎回その場では良くなる。

でも2〜3日すると元に戻る。

それを何度も繰り返しているのであれば、私は一度立ち止まります。

「この腰の緊張は、何のために起きているんだろう」

「腰を緩める以外に、もっと効果を持続させる方法はないだろうか」

と考えます。

変わらない時は、施術を強くするより視野を広げてみる

私は、ここが臨床ではすごく大切だと思っています。

腰を揉んで変わらない。

だからもっと強く揉む。

もっと長く揉む。

それも一つの考え方かもしれません。

でも、その前に、

「そもそも腰だけを見ていていいのかな」

という疑問を持ってみる。

胸郭はどうだろう。

股関節はどうだろう。

足首はどうだろう。

頸部や脊柱全体はどうだろう。

そうやって見る範囲を少しずつ広げていきます。

最初から正解が分からなくてもいいと思います。

「ここかもしれない」

と考えて確認する。

違ったら、また別の場所を見る。

その繰り返しです。

「もっと良くできないかな」という疑問を大切にする

患者さんの腰をマッサージして、その場では楽になった。

でも、すぐに戻ってしまった。

その時に、

「腰痛だからこんなものだろう」

で終わるのか。

それとも、

「もっと効果を持続させるには、他に見る場所があるんじゃないか」

と考えるのか。

私は、この疑問がすごく大切だと思っています。

施術が変わらない時に必要なのは、新しい技術とは限りません。

今まで見ていなかった場所を見ることかもしれません。

腰痛という一つの症状からでも、胸郭、股関節、足首、脊柱、頸部と見る範囲を広げることができます。

そうやって少しずつ全身がつながって見えるようになってくると、マッサージもまた面白くなってくると思います。

ここまで読んで、
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