最近、自分の中で、
「これは貴重な経験だったな」
と思った症例がありました。
40代の女性です。
普段は一般的な整体院に来られるような、まだお若い方なのですが、先月かなり大きく体調を崩されたそうです。
少し久しぶりにLINEをいただき、その話を聞きました。
内科を受診して検査をしたところ、自己抗体の値がかなり高くなっていたとのことでした。
当然、不安になりますよね。
自己抗体について調べれば、自己免疫疾患という言葉も出てきます。
ただ、自己抗体の値が高いからといって、それだけで自己免疫疾患を発症している、あるいは今後必ず発症するというわけではありません。
そこは当然、医療機関で経過を見てもらう必要があります。
その上で、
「じゃあ一度、今の体を見させてください」
ということで施術をさせていただきました。
普段から、かなり体に気をつけている方だった
実はこの方、20代の頃にも一度、自己抗体の値について指摘されたことがあったそうです。
それ以来、ご自身でもいろいろ調べながら、日頃からかなり体に気をつけています。
食べるものを考えたり。
冷たいものばかりではなく、温かい飲み物を飲むようにしたり。
ルイボスティーや黒豆茶を飲んだり。
適度な運動もされています。
何もしていない方ではありません。
むしろ、自分の体を考えて日頃からいろいろ取り組んでいる方です。
それでも今回、大きく体調を崩した。
そこで実際に体を見させてもらいました。
私には「免疫に関係する反応がかなり落ちている」ように感じた
ここからは、あくまで私自身の整体での見立てです。
医学的な検査で免疫機能を測定しているわけではありません。
これまで患者さんの体を見てきた臨床経験や、私自身が普段行っている触診などから考えていることです。
その前提で今回の体を見た時に、私は、
「免疫に関係する体の反応が、かなり落ちている」
と感じました。
なので、その日の施術では、私なりの考え方で免疫に関係すると見ている部分へのアプローチをかなり重点的に行いました。
今回はここだな、と。
いろいろなところを少しずつ触るというより、テーマをかなり絞って施術しました。
施術後、私はある反応を予測していた
施術が終わった後、ご本人にもお伝えしました。
「今回、私の見立てでは免疫に関係する反応がかなり落ちているように感じます」
「なので今日は、そこをかなり重点的に施術しています」
そして、これまでの私自身の臨床経験から、もう一つお伝えしました。
「もしかすると明日、熱が出たり、咳が出たりするかもしれません」
私はこれまでの臨床の中で、施術後にこういった体調変化が出るケースを経験しています。
今回も、その可能性があるのではないかと考えました。
もちろん、これは医学的に
「この施術をすれば熱や咳が出る」
と確立されている話ではありません。
あくまで、これまでの私の臨床経験からの予測です。
翌日、微熱と軽い咳が出た
そして翌日、ご本人から連絡をいただきました。
「先生がおっしゃったように、微熱と軽い咳が出ました」
という内容でした。
これだけを見ると、
「予想が当たった」
で終わってしまうかもしれません。
でも、私が今回面白いと思ったのは、むしろここからなんです。
なぜ「微熱」だったんだろう
私は今回、かなり重点的に施術をしました。
だから自分のこれまでの経験からすると、もう少し強い体の反応が出る可能性もあるのではないかと予想していました。
例えば、もう少し高い熱が出るような反応です。
ところが実際には、微熱と軽い咳だった。
ここで私は、
「予想通りだった。良かった」
だけでは終わりませんでした。
「かなり重点的にアプローチしたのに、反応はこの程度だった。じゃあ今の体は、まだ十分に反応を出せる状態まで戻っていないんじゃないか」
と考えました。
これも、あくまで私の臨床上の仮説です。
微熱だったことから医学的に免疫機能の状態を判断できる、という意味ではありません。
ただ私は、こういう施術前後の変化を見ながら、次の施術を考えています。
施術後の反応は、次の施術を考える材料になる
だから次回この方を見させていただく時には、もう一度、免疫に関係すると私が考えている部分をしっかり確認したいと思っています。
そして今回、軽い咳も出ています。
そこから呼吸器系についても、もう少し細かく体を見てみたい。
気管支周辺を含めて、自分の中では次に確認したいところがいくつか出てきました。
もちろん、その時の体調や医療機関での経過を確認することが前提です。
その上で、
前回はこうだった。
こういう施術をした。
翌日にこういう反応が出た。
では次は、どこを見るか。
一回の施術で終わらず、体の反応を見ながら次の仮説を作っていく。
私はこれが臨床の面白さの一つだと思っています。
内臓へのアプローチを学んで面白くなったこと
私が内臓を含めて体を見るようになって面白いと感じているのは、単純に「内臓を施術できる」ということではありません。
施術の組み立て方が変わったことです。
この人の今の状態をどう見るか。
今日は何を優先するのか。
そこへ施術した後、体はどう反応したのか。
予想より大きかったのか。
予想より小さかったのか。
では、次は何を見るのか。
こうやって一回一回、計画を立てられるようになりました。
もちろん、自分の考えが合っているとは限りません。
予想と全然違うことだってあります。
その時はまた考え直せばいい。
でも、
「今日はここを施術しました。次回も同じことをします」
ではなく、
「前回こう考えて、こう施術した。こういう反応だった。だから次はこう考える」
という臨床ができる。
私はそこに面白さを感じています。
体から返ってきた反応を、次の施術につなげる
今回の症例も、これで何かが証明されたという話ではありません。
自己抗体の値と、私が行った施術の関係が証明されたわけでもありません。
微熱や咳が、施術によって起きたと医学的に断定できるわけでもありません。
ただ、臨床家として私が実際に経験したこととして、
体を見て、仮説を立てた。
そこへ施術した。
ある程度予測していた反応が起きた。
そして、その反応の程度を見て、また次の施術を考えた。
この一連の流れは、自分にとってすごく貴重な経験でした。
施術する。体から反応が返ってくる。その反応を見て、また次を考える。
内臓を含めて体を見るようになってから、私はこの繰り返しが臨床の醍醐味の一つになっています。
答えが最初から分かっているから面白いのではありません。
むしろ、
「じゃあ次はどうしよう」
と考えられること。
私はそこに、臨床の面白さを感じています。

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