パーキンソン病や多系統萎縮症の方を見て、自律神経だけで終わらせない理由

今回は、かなり私自身の臨床経験から考えている話です。

医学的に確立された原因を説明する記事ではありません。

日々、パーキンソン病や多系統萎縮症などの方を施術させていただく中で、

「こういう見方もあるんじゃないか」

と私自身が考えていることを書いてみたいと思います。

目次

難病の方を見ていると、自律神経の状態が気になる

訪問マッサージをしていると、パーキンソン病や多系統萎縮症など、神経系の病気を抱えている方を施術する機会があります。

医学的にも、パーキンソン病ではさまざまな自律神経症状がみられます。

多系統萎縮症では、自律神経障害はさらに重要な特徴の一つです。

そして私自身、こうした方々の体を触らせていただいていると、自分なりの触診や評価の中で、

「自律神経にかなり大きな負担がかかっているように感じる」

ということが非常に多くあります。

ただ、私が面白いと思っているのはここからです。

同じように自律神経に強い負担がかかっているように見えても、

「なぜ、ここまで自律神経に負担がかかったんだろう」

と考えていくと、人によって全然違うんです。

「自律神経が乱れています」で終わりたくない

自律神経という言葉は便利です。

体調が悪い。

眠れない。

胃腸の調子が悪い。

血圧が安定しない。

そんな時に、

「自律神経が乱れていますね」

と言えば、なんとなく説明できたような感じになります。

でも私は、そこでもう一回考えます。

「じゃあ、なぜこの人の自律神経はこれだけ負担を受けているんだろう?」

ここです。

私がこれまで見てきた中では、その背景にいくつかのパターンを感じています。

ここから先は、医学的に原因として確立されている話ではなく、あくまで私が施術をしながら立てている臨床上の仮説です。

一つ目は、心臓との関係

例えば、心臓に大きな既往がある方です。

中にはペースメーカーを入れている方もいます。

こうした方の体を見ている時に、私は、

「心臓や循環を維持するための負担と、自律神経の状態には何か関係があるんじゃないか」

と考えることがあります。

もちろん、

「心臓が悪いから自律神経が乱れて、それがパーキンソン病につながった」

という意味ではありません。

そんな単純な話ではありません。

ただ、目の前の患者さんの体を考える時に、病名だけを見るのではなく、

「この人の体は今まで何を補いながら生きてきたんだろう」

と考える材料の一つにしています。

二つ目は、体の中で処理・排泄する負担

もう一つ、私がよく考えるのが、体の中で不要になったものを処理したり排泄したりする働きです。

私は臨床の中で、これをかなり広い意味で「毒素の処理」と表現することがあります。

ただ、ここでいう「毒素」は特定の物質を検査で確認したという意味ではありません。

代謝や排泄に関わる体の負担を、私なりにまとめて表現している言葉です。

そうした処理がうまくいっていないように感じる方を見ていると、

私は、

「この状態を何とか維持しようとして、自律神経にもかなり負担がかかってきたんじゃないか」

と考えることがあります。

これも、現時点では私の臨床上の仮説です。

三つ目は、消化吸収との関係

そして最近、特に気になっているのが消化吸収です。

これは本当に、まだ「仮の仮の仮説」くらいに思ってください。

難病の方を施術していると、私の触診では膵臓周辺にかなり負担があるように感じる方がいます。

ここが自分の中でも、まだ整理しきれていません。

先に消化吸収に関係する負担が積み重なって、その結果として自律神経にも負担がかかっていったのか。

それとも、病気の進行や自律神経の変化、服薬を含めたさまざまな要素が重なった結果として、肝臓や膵臓周辺に私が「負担」と捉える反応が出ているのか。

今の私には、まだ分かりません。

薬についても、薬が悪いと言いたいわけではありません。

必要な薬は当然、医師の管理のもとで服用するものです。

ただ、患者さんの体全体を考える時には、病歴や服薬歴も含めて情報として見ています。

そして臨床を続けていると、神経系の病気を抱えている方の中に、膵臓周辺にも強い反応を感じるケースが散見されます。

これが何を意味しているのか。

私は今、そこを考えている途中です。

分からないからこそ、順番を考える

こういう話をすると、

「結局、何が原因なんですか?」

と思われるかもしれません。

でも、私にも分かりません。

むしろ、そこを簡単に決めないようにしています。

心臓なのか。

消化吸収なのか。

代謝や排泄なのか。

病気そのものによる変化なのか。

服薬なども含めた、その後の体の変化なのか。

あるいは、これらがいくつも重なっているのか。

人の体なので、一つの原因から一直線に病気が起きているとは限りません。

だから私は「自律神経が乱れている」で答えにせず、その自律神経が今の状態になるまでに何があったのかを考えたいんです。

もう一つ気になるのが、頸椎と頭部のバランス

そして、こうした神経系の病気を抱えている方を見ていて、もう一つ私がよく気になるのが頸椎です。

頸椎の位置や動きに、かなりアンバランスさを感じる方がいます。

ただ、私は頸椎だけが悪いとは考えていません。

むしろ、

「体幹と頭部のバランスを取ろうとした結果として、首がこの位置になっているんじゃないか」

と見ることがあります。

そう考えると、首だけを真っすぐにしようとしても仕方がありません。

なぜこの人は、この頭の位置、この体幹の位置、この首の位置を選んでいるのか。

そこを見ます。

後頭下筋群の強い緊張を見ると、さらに考えたくなる

そして頸椎の位置が変わっている方では、後頭部から上位頸椎周辺の筋肉、いわゆる後頭下筋群にかなり強い緊張を感じることがあります。

ここから先も、私の仮説です。

これだけ首周辺の状態が変わっているのであれば、頭部への循環や神経系の環境にも、何らかの影響があるのではないか。

そんなことを考えます。

ただし、後頭下筋群が硬いから脳血流が低下する、あるいはそれがパーキンソン病や多系統萎縮症につながる、と証明されているという話ではありません。

私は、目の前の患者さんを触りながら、

「もしかしたら、ここにも何か関係があるんじゃないか」

と仮説の一つとして持っているだけです。

病名から施術場所を決めたくない

私がこういうことを考えるのは、

「パーキンソン病にはここ」

「多系統萎縮症にはここ」

という施術をしたくないからです。

同じ病名でも、体は全然違います。

心臓に大きな既往がある人もいる。

消化吸収について気になる反応がある人もいる。

代謝や排泄について考えたくなる人もいる。

頸椎や頭部のバランスが強く崩れている人もいる。

そして、それらがいくつも重なっている人もいます。

だから病名を聞いた瞬間に施術内容を決めるのではなく、

「この人は、どういう過程を通って今の体になったんだろう」

と考える。

私はそこを大切にしています。

臨床を続けるほど「分からない」が増えていく

今回書いたことの中には、医学的にはまだ説明できないことや、私自身の仮説にすぎないことがたくさんあります。

特に膵臓については、自分でもまだ全然整理できていません。

でも、それでいいと思っています。

臨床で感じたことを、すぐに答えにする必要はありません。

「こういう人が多い気がする」

「ここに反応が出ている人が多い」

「もしかしたら、こういう順番なのかもしれない」

そうやって仮説を持って、次の患者さんを見る。

違えば修正する。

また別の症例を見る。

それを何年も繰り返していく。

私にとって臨床というのは、分かったことを患者さんに当てはめる作業ではなく、目の前の患者さんを見ながら「なぜ?」を増やしていく作業なのかもしれません。

パーキンソン病だから自律神経を見る。

そこで終わるのではなく、

「なぜ、この人の自律神経は今こうなっているんだろう」

その一つ先を考える。

まだ答えは分かりません。

でも私は、こういうことを考えながら患者さんの体を触っている時間が、臨床の面白さの一つだと思っています。

ここまで読んで、
何か引っかかるところがあった方へ。

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