整体をしていると、施術そのものだけではなく、
「症状がどう変化しているのかを確認すること」
もすごく大切だと思っています。
例えば腰痛がある患者さんがいたとします。
最初は、
「もう四六時中痛いです」
とおっしゃっていた。
そこから何回か施術をしていくうちに、まだ腰痛はあるけれど、四六時中ではなくなってきた。
これは一つの変化ですよね。
ところが、この変化に患者さん自身が気づいているとは限りません。
「まだ痛いから、良くなっていない」と考える人もいる
もちろん、自分で変化に気づく患者さんもいます。
「そういえば、朝は前より楽になりました」
「ずっと痛かったのに、最近は痛くない時間があります」
こうやって教えてくださる方なら、こちらも経過を把握しやすいです。
でも、全員がそうではありません。
中には、
「痛いか、痛くないか」
という二つの物差しだけで見ている方もいます。
まだ痛みがある。
だから、まだ良くなっていない。
そう感じるわけです。
でも実際には、
四六時中痛かったものが、一日の中で数時間は気にならなくなっているかもしれない。
痛みの強さが変わっているかもしれない。
痛みが出ても、以前より早く落ち着くようになっているかもしれない。
こういう変化も、私は大切な経過だと思っています。
症状がない時、人はあまり体のことを考えていない
これは施術者をしていると、少し不思議に感じることがあるかもしれません。
「なんでこの変化に気づかないんだろう?」
と思うこともあります。
でも、考えてみれば普通なんですよね。
私たちは毎日、人の体を見ています。
だから症状の頻度や強さ、動きの変化などを細かく見ます。
でも一般の方は、症状が出ていない時まで自分の体についてずっと考えているわけではありません。
腰が痛い時には腰が気になる。
頭痛が出たら頭が気になる。
めまいが出たら不安になる。
でも症状が出ていない時間には、仕事をしたり、ご飯を食べたり、家族と話したりして普通に生活しています。
症状がない時間ほど、その症状のことを忘れている。
だから「痛くなかった時間が増えた」という変化に、自分では意外と気づかないことがあります。
頭痛やめまいなら「頻度」を聞いてみる
これは腰痛だけではありません。
例えば頭痛であれば、
「頭痛はありますか?」
だけではなく、
「最初は週に何回くらいありましたか?」
「最近はどのくらいですか?」
と聞いてみる。
めまいであれば、
「まだめまいはありますか?」
だけではなく、
「以前と比べて起こる回数はどうですか?」
「出た時の強さはどうですか?」
「どのくらい続きますか?」
と確認する。
これだけでも、見えてくるものが変わります。
「どんな時に出るのか」も経過の一つ
もう一つ私が見るのが、症状が出る条件です。
例えば、
天候が変わった時。
気温が大きく変わった時。
仕事が忙しかった時。
睡眠不足が続いた時。
長時間同じ姿勢だった時。
こういう時に症状が出やすい人もいます。
以前は天候が崩れるたびに頭痛が出ていた。
でも最近は、天候が変わっても出ない日が増えてきた。
これも一つの変化です。
逆に、普段はかなり良くなったけれど、睡眠不足になると必ず症状が出る。
それが分かれば、患者さん自身も、
「自分はこういう時に症状が出やすいんだ」
と自分の体を知るきっかけになります。
私は「ある・ない」以外にもいくつかの物差しを持つようにしている
症状の経過を見る時、私は「症状がなくなったか」だけで判断しないようにしています。
例えば、
・頻度はどうなったか
・強さはどうなったか
・どのくらい続くのか
・症状が出ない時間は増えたか
・どんな条件で出るのか
・以前できなかったことができるようになったか
こういうものを見ます。
もちろん症状によって見るものは変わります。
でも、少なくとも、
「まだ痛いですか?」
「はい、まだ痛いです」
だけで経過を判断することは、私はあまりしません。
患者さん任せにすると、毎回評価の基準が変わってしまう
ここで大切なのが、整体師側がある程度主導して聞くことです。
患者さんに、
「最近どうですか?」
とだけ聞く。
もちろん、それも必要です。
でも、それだけだと患者さんがその日に一番気になっていることが中心になります。
前回は腰。
今日は首。
次回は頭痛。
その時々で話題が変わってしまう。
すると、最初に困っていた症状が実際にはどう変化したのかが分からなくなります。
だから私は、患者さんの話を自由に聞きながらも、
経過を確認する部分については、施術者側が基準を持って聞いた方がいい
と思っています。
「良くなりましたね」と言うためではない
ここは少し注意が必要です。
患者さんが、
「まだつらいです」
と言っているのに、
「でも最初より良くなってますよね」
とこちらから無理に納得させる。
私は、これは違うと思っています。
患者さんに「良くなった」と思わせるために変化を探すわけではありません。
実際に起きている変化を、一緒に確認するんです。
良くなっているところがあれば、それを確認する。
変わっていないところがあれば、それも確認する。
悪くなっているのであれば、それも確認する。
施術者に都合のいい変化だけを拾うのではなく、同じ物差しで経過を見続ける。
ここが大切だと思っています。
施術者にとっても、次の施術を考える材料になる
経過を細かく見ることは、患者さんのためだけではありません。
施術者にとっても重要です。
例えば、痛みはまだある。
でも頻度は明らかに減っている。
それなら、今やっている方向性をもう少し続けてみようと考えるかもしれません。
逆に、何回施術しても頻度も強さも持続時間もまったく変わらない。
それなら、
「今の見立てをもう一度考え直した方がいいんじゃないか」
という判断材料になります。
必要に応じて医療機関への相談を勧める判断にもつながります。
経過を評価するということは、自分の施術が順調なのかを確認する作業でもあるんです。
整体師は「経過を見る物差し」を持っておく
患者さんは、自分の症状について一番長く付き合っている人です。
だから患者さんの感覚は、とても大切です。
でも、経過の見方まで全部患者さん任せにする必要はないと思っています。
患者さん自身が気づいていない変化もある。
逆に、こちらが思っている以上につらさが残っていることもある。
だから、毎回ある程度同じ基準で確認する。
頻度。
強さ。
持続時間。
出現する条件。
できるようになったこと。
そうやって一緒に経過を追っていく。
すると患者さん自身も、
「そういえば、前より痛くない時間が増えていますね」
「雨が降っても今回は頭痛が出ませんでした」
「自分は寝不足の時に出やすいんですね」
と、自分の体について少しずつ分かるようになってきます。
そして施術者側も、今の施術を続けるのか、見直すのかを考えやすくなる。
症状を変えることだけではなく、その変化をきちんと見つけられること。
これも整体師に必要な臨床の技術の一つだと、私は思っています。

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