痛い場所だけを見ていると原因を見誤る|姿勢で肩の動きが変わる簡単な実験

普通のマッサージを中心に施術している方ほど、私は姿勢を見ることが大切だと思っています。

なぜか。

今日は、すごく簡単な方法で体感してみてください。

目次

まず、思いっきり猫背になってみてください

今、座ったままで大丈夫です。

まず、思いっきり猫背になってみてください。

背中を丸めて、頭も少し前に出す。

その状態のまま、肘を伸ばして、腕を横から頭の上まで上げてみてください。

肩の外転動作です。

やってみると分かると思いますが、腕が上げづらくなりませんか?

では次に、少し体を起こしてみてください。

胸郭を無理のない範囲で起こして、もう一度同じように腕を上げてみます。

おそらく、先ほどとは動かしやすさが変わる方が多いと思います。

肩そのものに何かしたわけではない

ここで面白いのが、肩そのものには何もしていないということです。

マッサージもしていない。

ストレッチもしていない。

肩関節を調整したわけでもない。

変えたのは、体幹の姿勢です。

それだけでも肩の動きは変わります。

人の体は、一つの関節だけで動いているわけではないからです。

腕を上げる時には肩関節だけではなく、肩甲骨や胸郭なども一緒に動いています。

だから体幹の姿勢が変われば、肩の動かしやすさも変わることがあります。

もし肩だけを見ていたらどうなるか

では、患者さんが、

「腕が上がりづらいんです」

と来院したとします。

姿勢という視点を持っていなければ、

「腕が上がらないんだから肩が悪いんだろう」

と考えやすいですよね。

三角筋を触る。

棘上筋を触る。

肩関節周囲をマッサージする。

もちろん、それが必要なケースもあります。

でも、先ほど自分の体で試したように、肩そのものに大きな問題がなくても、体幹や胸郭の姿勢によって肩の動きが変わることがあります。

だとしたら、肩だけをずっと施術していても変わらないケースがあるのは当然ですよね。

ここで姿勢を見る意味が出てくる

姿勢を見ることができれば、

「肩だけの問題なのかな?」

という疑問を持つことができます。

胸郭はどうなっているんだろう。

脊柱はどうなっているんだろう。

肩甲骨は動いているだろうか。

首の位置はどうだろう。

そうやって、見る範囲が広がります。

姿勢を見る目的は、「姿勢が悪いですね」と患者さんに言うためではありません。

今起きている動きや症状を、肩だけではなく全身から考えるためです。

症状がある場所と、関係している場所は同じとは限らない

これは肩だけの話ではありません。

腰が痛い。

膝が痛い。

首が痛い。

患者さんは当然、痛い場所を訴えます。

でも、臨床では、症状が出ている場所だけを見ても説明できないことがたくさんあります。

私は、ここが施術を難しくもするし、面白くもするところだと思っています。

痛い場所を触る。

硬い筋肉を緩める。

それだけで良くなる方もいます。

でも、それだけでは変わらない方が必ず出てきます。

その時に、

「もっと強く揉めばいいのかな」

で終わるのではなく、

「もしかしたら、ここ以外に理由があるんじゃないか」

と考えられるかどうか。

私はそこがすごく大切だと思っています。

「普通のマッサージしかできない」ではなく、見方を増やしてみる

この業界で働いている方であれば、ほとんどの方が、

「患者さんの体を良くしたい」

と思って仕事をしていると思います。

整体院。

訪問マッサージ。

整骨院。

鍼灸院。

働いている場所は違っても、そこは同じじゃないでしょうか。

でも、実際に変化が出ない患者さんを前にすると、

「自分には難しい」

「こういう症状は仕方ない」

と思ってしまうことがあります。

もちろん、施術ですべての症状を変えられるわけではありません。

医療機関での評価や治療が必要なケースもあります。

ただ、単純に自分がまだ別の見方を知らないだけということもあります。

今回の肩の動きもその一例です。

肩が上がらない。

だから肩を見る。

そこから、

「胸郭はどうだろう」

という視点が一つ増える。

たったそれだけでも、患者さんの体を見る範囲はかなり広がります。

一つ知るだけでも、体の見え方は変わる

私は、こういう小さな知識を大切にしてほしいと思っています。

いきなり難しい治療法を覚えなくてもいいんです。

「姿勢が変わると肩の動きも変わるんだ」

まずそれを知る。

すると次に患者さんを触った時、今までとは少し違う疑問が出てきます。

「この肩、本当に肩だけの問題なのかな?」

そう思えたら、見る場所が一つ増えます。

そこから胸郭を見る。

脊柱を見る。

肩甲骨を見る。

さらに全身へ広がっていく。

知識が増えるというのは、難しい技術が増えることだけではありません。

目の前の患者さんに対して「他に何が考えられるだろう」と思える選択肢が増えることだと思っています。

今回の実験も簡単なので、ぜひ一度自分の体で試してみてください。

そこから人の体を見る視点が、一つ広がってもらえたら嬉しいです。

ここまで読んで、
何か引っかかるところがあった方へ。

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