スタッフに仕事を任せる時に、私が大切にしていることがあります。
それは、
一度任せたら、結果に対して後から文句を言わないこと。
これです。
もちろん、明らかなミスや患者さんの安全に関わることがあれば、フィードバックは必要です。
でも、
「なんでこんなやり方にしたの?」
「自分だったらこうしたのに」
「こんな結果になるなら任せなきゃよかった」
みたいなことを言うのは、なるべくしないようにしています。
逆の立場なら「だったら自分でやればいいじゃん」と思う
これって、逆の立場で考えると分かりやすいんですよね。
上司から、
「これ任せるよ」
と言われた。
自分なりに考えてやった。
もちろん完璧ではなかったかもしれない。
でも、結果を報告したら、
「なんでこんなことになったの?」
「普通こうするでしょ」
と後から言われる。
そんなことが続いたら、
「だったら最初から自分でやればいいじゃん」
って思いますよね。
私だったら思います。
それでは、任された側もだんだん考えなくなってしまいます。
「任せる」と「自分のやり方通りにやらせる」は違う
仕事を任せるというのは、単純に作業を渡すことではないと思っています。
「この通りにやって」
と細かく全部指示するのであれば、それはどちらかというと作業をお願いしている状態です。
本当に任せるのであれば、ある程度その人自身に考えてもらう必要があります。
どう進めるか。
何を優先するか。
問題が起きたらどう対応するか。
そこまで含めて、自分で考えてもらう。
任せるというのは、仕事と一緒に「考える余白」も渡すことだと思っています。
任されたスタッフには責任感が生まれる
スタッフ側からすると、
「これは任せるよ」
と言われると、少し緊張すると思います。
でも、その緊張は悪いものではありません。
「ちゃんとやらなきゃ」
「自分で考えないと」
という責任感につながります。
経営者や先輩がいつも横から答えを出していたら、スタッフはそこまで考えなくても仕事ができます。
何かあったら聞けばいい。
最後は上司が決めてくれる。
それでは、なかなか自分で判断できるようにはなりません。
まずは小さい仕事から任せていく
もちろん、いきなり大きな仕事を丸投げするわけではありません。
最初は小さいところからです。
ある程度失敗しても大きな問題にならない仕事。
こちらが後からフォローできる仕事。
まずはそこから任せます。
そして、その仕事ができるようになったら、少し大きいものを任せる。
またできるようになったら、さらに広げる。
そうやって少しずつ任せる範囲を大きくしていきます。
すると、気づいた頃には、以前なら全部こちらへ確認していたスタッフが、自分でかなりのことを判断できるようになっています。
結果が違ったら「文句」ではなくフィードバックをする
任せた結果、自分が想像していたものとは違うこともあります。
それは当然です。
自分ではない人が考えているんですから、同じ結果になるとは限りません。
そんな時に、
「なんでこうしたの?」
と責めるのではなく、まず理由を聞きます。
「どういう考えでこの判断にしたの?」
と。
そうすると、
「なるほど、そういうふうに考えたんだ」
と分かることがあります。
自分より良い考え方をしていることだってあります。
逆に、少し考え方が足りなかったのであれば、
「次はここまで考えるともっと良くなるよ」
と伝えればいい。
任せた後に必要なのは、文句ではなく次につながるフィードバックだと思っています。
「自分だったらこうする」は、正解とは限らない
経営者や先輩は、どうしても自分のやり方があります。
経験も長いです。
だからスタッフのやり方を見ると、
「自分ならもっとこうするのに」
と思います。
でも、それが必ずしも唯一の正解とは限りません。
スタッフにはスタッフなりの考えがあります。
場合によっては、こちらが思いつかなかったやり方を出してくれることもあります。
そこまで全部潰してしまったら、スタッフを雇っている意味が少し薄くなってしまいます。
全員が経営者と全く同じ考え方をする必要はありません。
任せるなら、最後はスタッフを信じる
結局、ここだと思っています。
仕事を任せるのであれば、スタッフを信じる。
もちろん、何も見ないという意味ではありません。
必要な報告はしてもらいます。
大事な部分は確認します。
患者さんの安全に関わるところは、当然管理します。
でも、細かいところまで全部こちらが握るのではなく、
「ここまではあなたに任せる」
と決めたら、その範囲では考えてもらう。
そして結果が100点ではなくても、まずやってくれたことを見る。
私は、その方がスタッフは育つと思っています。
任せられる仕事が増えると、経営者の仕事も変わってくる
スタッフへ仕事を任せられるようになると、経営者自身の時間も少しずつ変わってきます。
今まで自分が全部やっていた仕事を、スタッフがやってくれる。
すると経営者は、その時間を別の仕事に使えます。
採用。
教育。
会社の仕組みづくり。
新しい事業。
今後の方向性を考える。
こういう仕事に時間を使えるようになります。
以前の記事でも書きましたが、人を雇っても全部自分で握っていたら、事業の成長スピードは結局自分一人のままです。
任せることは、スタッフを育てることでもある
私は、仕事を任せること自体が教育だと思っています。
自分で考える。
責任を持つ。
結果を見る。
うまくいかなければ修正する。
また次にやってみる。
この繰り返しで、人はかなり成長します。
教えているだけでは身につかないものもあります。
実際に自分で決めて、自分でやって、その結果を経験する。
そこまでやって初めて分かることもあります。
任せた以上、経営者側にも覚悟が必要
そして、仕事を任せる側にも覚悟が必要です。
自分と全く同じ結果にはならない。
多少遠回りすることもある。
ミスすることもある。
それでも、すぐ取り上げない。
「もういい、自分でやる」
と言わない。
必要ならフォローして、また任せる。
任せるというのは、スタッフに責任を渡すだけではなく、経営者側が結果を受け入れる覚悟を持つことでもあると思っています。
信じて任せるから、少しずつ「任せられる人」になっていく
最初から何でも任せられるスタッフはいません。
任せる。
考えてもらう。
結果を見る。
必要なところだけフィードバックする。
そして、もう一度任せる。
その積み重ねです。
すると、だんだん経営者が細かく言わなくても動けるようになります。
以前なら確認してきたことを、自分で判断するようになる。
以前なら気づかなかったことに、自分から気づくようになる。
そうやって仕事の範囲も、責任も、少しずつ大きくなっていきます。
だから私は、スタッフに仕事を任せたら、まず信じます。
そして、自分の思った通りにならなかったからといって文句を言わない。
必要なら次のためのフィードバックをする。
「任せる」と言った以上、本当に任せる。
それが、スタッフに責任感を持ってもらい、最終的には経営者自身も仕事を手放していくために大切なことだと思っています。

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