患者さんには熱を持って、スタッフには冷静に伝える|私がマネジメントで意識している話し方

仕事をしていると、同じ「伝える」という行為でも、相手によって必要な温度感はかなり違うと思っています。

私自身、いろいろ経験してきて今感じているのは、

患者さんには熱を持って伝える。

スタッフには、内容によっては冷静に伝える。

この使い分けが大切だということです。

何でも熱く話せばいいわけではない。

逆に、何でも冷静に淡々と話せばいいわけでもない。

大事なのは、

「今この相手に、何を伝えたいのか」

を考えることだと思っています。

目次

患者さんへの説明には、ある程度の熱量が必要

患者さんに体の状態を説明する時。

今後どういう流れで施術していくかを話す時。

どのくらいの頻度で通った方がいいかを提案する時。

こういう場面では、私はある程度熱を持って伝えた方がいいと思っています。

あまりに淡々と、

「ここがこうなので、こうした方がいいですね」

だけで終わる。

もちろん説明としては間違っていません。

でも、患者さんの立場からすると、

「この人、本当に自分の体を良くしようと思ってくれてるのかな」

と少し不安になることがあります。

だって、自分の大切な体を預けるわけですからね。

技術が高いだけでは、患者さんは安心できないこともある

施術者として技術が高いことは当然大切です。

知識も必要です。

体のことをちゃんと理解している。

施術も上手い。

それは大前提です。

ただ、患者さんが実際にその人へお願いするかどうかとなると、それだけでは決まらないこともあります。

自分の話をちゃんと聞いてくれる。

自分の体について真剣に考えてくれる。

今後について親身に説明してくれる。

「こうした方がいいですよ」

と責任を持って提案してくれる。

そういう部分もかなり大きいと思っています。

「あなたの体を本当に良くしたいと思っています」という気持ちが伝わること自体も、施術者として大切な要素だと思っています。

自分の身内だったらどうするか、という視点も使う

患者さんへ説明する時、私は、

「自分の家族だったらどうするだろう」

と考えることがあります。

例えば、

「私の家族だったら、このくらいのペースで一度様子を見ます」

「自分の身内だったら、私はこういう順番で施術していきます」

という話をすることがあります。

もちろん、これは誰にでも同じ提案をするという意味ではありません。

その人の状態を見た上で、

「自分の大切な人だったとしても、この提案をするか」

と考えるということです。

そうすると、説明にも自然と誠意が出ると思っています。

特に初診では、熱量が信頼につながることがある

初めて患者さんと会う時は、まだ信頼関係がありません。

患者さんからすれば、

「この先生に任せて大丈夫かな」

という状態です。

そこで体の説明をして、

「今こういう状態だと私は考えています」

「今後はこういう方向で見ていきたいです」

「私はこうした方がいいと思います」

と、ある程度しっかり伝える。

そこに熱意があると、

「この人はちゃんと自分のことを考えてくれているんだな」

と感じてもらいやすくなります。

実際、初回の段階で、

「じゃあ、この先生にお願いしてみよう」

と思ってもらえるかどうかには、こういう部分も結構大きいと思っています。

ただし、熱量と押し売りは全く違う

ここは注意が必要です。

熱を持って説明するというのは、強引に契約を取るという意味ではありません。

患者さんが嫌がっているのに押す。

不安を煽る。

必要以上の回数を勧める。

これは別の話です。

あくまで、

「私はあなたの体をこう見ています」

「こうすると良くなる可能性があると思っています」

「だから私はこういう提案をします」

と、誠意を持って伝える。

最終的にどうするかを決めるのは患者さんです。

熱量は、相手を動かすためではなく、自分がどれだけ真剣に考えているかを伝えるために使う。

私は、そのくらいがいいと思っています。

一方で、スタッフへの教育は熱を入れすぎない方がいいことがある

ここからが、今回一番書きたいところです。

患者さんには熱を持って伝えた方がいい。

ではスタッフにも、

「とにかく情熱を持って全部教えればいい」

かというと、私はそうではないと思っています。

内容によっては、むしろ冷静に伝えた方がいいです。

特に、

技術指導。

仕事の手順。

制度。

ルール。

ミスへのフィードバック。

こういう部分です。

理念やビジョンは、スタッフにも熱を持って伝える

もちろん、スタッフに対しても熱を持って話した方がいい内容はあります。

例えば、理念。

使命。

ビジョン。

会社として何を大切にするのか。

なぜこの会社をやっているのか。

患者さんにどうなってほしいのか。

こういうものです。

これは正解を教えるものではありません。

「私たちはこれを大切にしている」

という会社の価値観を伝えるものです。

だから私は、ここには熱量があっていいと思っています。

むしろ、経営者自身が全く熱を感じていない理念なら、スタッフにも伝わらないですよね。

理念は「理解してもらう」だけではなく「共感してもらう」もの

スタッフが会社で働く理由は、給与や勤務時間だけではありません。

もちろん条件は大切です。

休日。

給与。

福利厚生。

働きやすさ。

全部必要です。

ただ、長く働くとなると、

「この会社が大切にしているものに自分も共感できる」

ということも大きいと思っています。

だから、

「うちはこういう会社です」

「私はこれを大切にしています」

という部分は、経営者自身の言葉でしっかり話した方がいい。

ここは淡々とマニュアルを読ませるだけでは、少しもったいないと思っています。

でも、技術指導に熱を入れすぎると話が変わってくる

例えば、スタッフへ施術技術を教えるとします。

自分としては、

「せっかく教えるなら、100%全部伝えたい」

と思います。

私自身も、以前そうでした。

かなり熱を入れて教えていました。

自分が学んできたことを全部伝えたい。

なるべく早く上手くなってほしい。

患者さんに良い施術ができるようになってほしい。

気持ちとしては悪くありません。

むしろ良かれと思ってやっています。

でも、ここに一つ問題がありました。

熱を込めた分だけ「なんで分からないんだ」が出てくる

こちらが全力で教えている。

時間も使っている。

一生懸命説明している。

だから、スタッフができなかった時に、

「なんで?」

と思いやすくなるんですよね。

「こんなに説明したのに」

「こんなに時間を使って教えているのに」

「なんで伝わらないんだろう」

と。

私自身も、そう感じることがありました。

そして、ここに感情が入ってくると、教え方まで強くなります。

口調が変わる。

スタッフの反応を見てイライラする。

できないことに焦る。

そうなると、本来の目的からずれていきます。

「これだけ教えているのに」は、教える側の事情

私は途中で、

「あ、これ本末転倒だな」

と思いました。

こちらがどれだけ一生懸命教えたか。

何時間使ったか。

どれだけ熱を込めたか。

これは、教える側の事情です。

新人スタッフにとって大切なのは、

「自分が理解できるか」

「できるようになるか」

です。

教育では、教える側の熱量より、相手が吸収できる状態を作る方が大切なことがあります。

スタッフ教育では、冷静さが「質問できる余白」を作る

技術指導の時に、経営者や先輩が熱くなりすぎる。

すると、スタッフ側はだんだん緊張します。

「これ聞いたら怒られるかな」

「また分からないって言ったらまずいかな」

「こんなことも分からないと思われるかな」

そうなると、質問しなくなります。

これはかなりもったいないです。

分からないことを聞いてほしいから教育しているのに、教育する側の熱量で質問できない状態を作ってしまう。

完全に本末転倒です。

質問されたら「淡々と答える」くらいでいいこともある

だから私は、技術や仕事の仕組みを教える時は、以前よりかなり冷静に話すようになりました。

質問されたら答える。

分からなければもう一回説明する。

間違えたら、

「ここはこうした方がいいよ」

と伝える。

それくらいです。

もちろん、重要な部分はしっかり伝えます。

でも、必要以上に感情を乗せない。

良くも悪くも、淡々とする。

その方がスタッフ側も、

「分からなければ聞けばいい」

と思いやすくなります。

冷静に話すことは「冷たくすること」ではない

ここは少し誤解されやすいところです。

冷静に伝えるというのは、冷たい態度を取るという意味ではありません。

無表情で教える。

突き放す。

興味がなさそうに答える。

そういう話ではありません。

相手を尊重した上で、感情をぶつけずに伝えるということです。

例えば、

「ここは違うよ。こうすると患者さんにこういうリスクがあるから、次はこうしよう」

と冷静に伝える。

これで十分なことも多いです。

スタッフのミスに対して熱くなると、伝えたい内容がぼやける

スタッフがミスをした時も同じです。

こちらが感情的になって、

「なんでこんなことしたの?」

「前にも言ったよね?」

「普通分かるでしょう」

と一気に話す。

すると、スタッフ側に残るのは、

「怒られた」

という記憶です。

本当は、

「次はここを変えてほしい」

ということを伝えたかったはずです。

でも、その肝心な部分が感情に埋もれてしまいます。

スタッフ教育では、何を感じさせるかより、次に何を変えてほしいのかが伝わることの方が大切です。

熱量が必要な場面と、冷静さが必要な場面を分ける

私は今、ざっくりこんな感じで分けています。

理念。

ビジョン。

患者さんにどう向き合ってほしいか。

会社をどうしたいか。

こういう「なぜやるのか」の部分には熱を持って話す。

一方で、

技術。

業務手順。

制度。

ミスへのフィードバック。

具体的な改善点。

こういう「どうやるのか」の部分は、なるべく冷静に話す。

この使い分けが、自分には合っています。

「なぜ」には熱を、「どうやるか」には冷静さを

これをもう少し簡単にすると、

「なぜ」に熱を持つ。

「どうやるか」は冷静に伝える。

私は、これくらいで考えています。

なぜ患者さんを大切にするのか。

なぜこの会社をやっているのか。

なぜこの仕事に意味があるのか。

ここは経営者自身の想いが出るところなので、熱量があっていい。

でも、

この技術はこうする。

この書類はこう処理する。

この場合はこう報告する。

これは冷静に分かりやすく伝える。

その方が、スタッフも受け取りやすいです。

患者さんには「自分のことを考えてくれている」と感じてもらいたい

一方で、患者さんへの説明は、私はやはり少し違うと思っています。

患者さんは、施術者の部下ではありません。

教育を受ける相手でもありません。

不安や痛みを抱えて来ています。

だから、

「大丈夫ですよ」

「私はこう考えています」

「こういう方向で一緒にやっていきましょう」

と、こちらがある程度前に出ることも必要です。

ただ情報を伝えるだけではなく、

「この人は自分のことを考えてくれている」

という安心感まで含めて伝える。

そこには、ある程度の熱量があった方がいいと思っています。

同じ「熱意」でも、相手によって受け取り方が違う

ここが面白いところです。

患者さんに対して熱意を持って説明すると、

「親身になってくれている」

と感じてもらえることがあります。

一方、新人スタッフに対して同じ熱量で技術指導をすると、

「怒られている」

「圧が強い」

と感じられることがあります。

同じ人が同じ気持ちで話していても、相手との関係性が違うからです。

だから、

「自分は熱意を持って話しているから問題ない」

ではなく、

「相手にはどう届いているか」

まで考える必要があります。

伝えることは、自分が何を言ったかではなく相手にどう届いたか

これは患者さんでもスタッフでも同じです。

自分が、

「ちゃんと説明した」

と思っていても、相手に伝わっていなければ意味がありません。

自分は励ましたつもり。

でも相手にはプレッシャーだった。

自分は熱意を示したつもり。

でも相手には怒りに見えた。

こういうズレはあります。

だから、話し方も一つの技術だと思っています。

技術指導では、スタッフの表情を見る

私はスタッフへ何か教える時、内容だけでなく反応も見るようにしています。

理解していそうか。

困っていないか。

質問したそうなのに止まっていないか。

こちらの勢いに押されて、ただ「はい」と言っていないか。

そこを見ます。

熱を込めて説明していると、自分が話すことに集中してしまいます。

でも教育で大切なのは、相手がどう受け取っているかです。

だから、自分が話す量を少し減らして、スタッフの反応を見る余裕を作る。

それも大切だと思っています。

100%伝えようとしない方が、結果的に伝わることもある

以前の私は、一回の練習でできるだけ多く伝えた方がいいと思っていました。

これも教えたい。

これも覚えてほしい。

この考え方も知ってほしい。

でも、教える側が100%話しても、受け手が100%吸収できるわけではありません。

むしろ情報が多すぎると、何が一番重要なのか分からなくなることもあります。

だから今は、

「今日はここが一つできればいい」

くらいでもいいと思っています。

そして次回また見る。

できていれば次へ進む。

できていなければもう一度説明する。

その方が、こちらも感情的になりにくいです。

マネジメントで必要なのは「自分の熱量を調整すること」なのかもしれない

経営者は、会社に対する想いが強いです。

自分で作った会社ですからね。

患者さんにも良くなってほしい。

スタッフにも成長してほしい。

会社も良くしたい。

どうしても熱が入ります。

その熱自体は悪いものではありません。

むしろ、その熱があるから経営を続けられる部分もあります。

ただ、その熱をいつでも100%相手へぶつければいいわけではありません。

時には熱く。

時には冷静に。

相手と目的によって調整する。

自分の熱量をコントロールすることも、マネジメントの一つなのだと思っています。

私は「熱く教えること」が良い教育だと思っていた

私自身、この考え方になったのは最初からではありません。

以前は、熱心に教えることが良い教育だと思っていました。

全力で教える。

自分の知っていることを惜しまず伝える。

それがスタッフのためだと思っていました。

でも、実際にスタッフ教育をしていると、うまくいかないことがあります。

こちらが一生懸命になればなるほど、できなかった時に自分自身がイライラする。

そして、その感情がスタッフへ向く。

それでは、スタッフを育てたいという最初の目的と真逆ですよね。

そこで、

「教える時こそ、自分は少し冷静でいた方がいいな」

と思うようになりました。

スタッフが成長しやすい空気を作ることも、教える側の仕事

スタッフが成長するためには、技術を教えることだけでは足りません。

質問できる。

間違えたことを言える。

「分かりません」と言える。

自分の意見を言える。

そういう空気も必要です。

経営者や先輩がいつも熱く、強く、正解を押し出していたら、スタッフは口を閉じるかもしれません。

そうすると、こちらからは、

「理解したんだな」

と見えてしまう。

でも実際には、質問できなかっただけ。

それが一番怖いです。

冷静に話せる人の方が、必要な時には厳しいことも言える

私は、冷静に話すということは甘くすることではないと思っています。

むしろ普段から冷静に話している方が、

「ここは本当に大切だよ」

という時に伝わりやすいです。

いつも怒っている人が怒っても、

「また怒ってる」

で終わります。

でも普段は淡々としている人が、患者さんの安全に関わる部分で、

「これは絶対に守ってください」

とはっきり言う。

その方が、重要度が伝わります。

「熱を持つこと」と「感情的になること」を分ける

患者さんへの熱意も、スタッフへの理念共有も、私は大切だと思っています。

でも、熱を持つことと感情的になることは違います。

熱を持つというのは、

「私はこれを本当に大切だと思っている」

と伝えること。

感情的になるというのは、

相手が自分の思った通りに動かないことへの苛立ちを、そのままぶつけること。

ここは分けて考えた方がいいです。

情熱は相手のために使う。

怒りはそのまま相手へ渡さない。

私は、そのくらいを意識しています。

相手と目的によって「伝える温度」を変える

患者さんには、

「この人は自分のことを真剣に考えてくれている」

と思ってもらいたい。

だから、体の説明や今後の提案には熱を持つ。

スタッフに理念を伝える時には、

「なぜこの会社はこれを大切にしているのか」

を感じてもらいたい。

だから、そこにも熱を持つ。

でも、技術や制度を教える時には、

「分からなければ聞ける」

「間違えたら修正できる」

という状態を作りたい。

だから、冷静に話す。

同じ経営者が話すとしても、全部同じ温度で話す必要はありません。

伝え方を変えたら、私自身もマネジメントが少し楽になった

冷静に教えるようになってから、私自身も少し楽になりました。

「絶対今日これを分からせなきゃ」

という力が抜けたからです。

今日はここまで。

分からなければ次また話す。

できなければもう一度見る。

そう考えると、スタッフがうまくできなかった時にも、

「じゃあ次どう伝えようかな」

と考えやすくなります。

怒りではなく修正へ頭を使えるようになります。

患者さんとスタッフでは、こちらに求められている役割が違う

考えてみれば、当たり前なのかもしれません。

患者さんに対して私たちは施術者です。

安心してもらう。

体について説明する。

プロとして提案する。

そして、

「この人に任せよう」

と思ってもらう必要があります。

一方、スタッフに対しては教育者や経営者です。

こちらの正しさを見せるのではなく、その人が育つ状態を作る必要があります。

役割が違えば、話し方が違うのも当然です。

私が今意識しているのは「誰のための熱量か」

熱意そのものは悪くありません。

私はむしろ、仕事に熱を持つことは大切だと思っています。

でも、その熱が、

患者さんを安心させるためなのか。

理念を伝えるためなのか。

それとも、自分の思った通りにスタッフを動かしたいだけなのか。

ここは一度考えた方がいい。

スタッフに対して、

「これだけ一生懸命教えているのに」

と思い始めた時には、私は少し危ないサインだと思っています。

教える目的が、スタッフの成長から、自分の努力を認めてもらうことへずれている可能性があるからです。

熱く伝えることと、冷静に伝えることの両方が必要

私は以前、何に対しても一生懸命、熱を込めることが良いと思っていた部分があります。

でも、人を雇って教育するようになって、その考えは少し変わりました。

患者さんには熱を持って伝えた方がいい。

会社の理念にも熱が必要です。

でも、スタッフへの技術指導やフィードバックでは、冷静さの方が役立つことがあります。

大切なのは、熱い人になることでも、冷静な人になることでもありません。

相手が受け取りやすい温度で伝えられることだと思っています。

患者さんが不安なら、こちらの真剣さを伝える。

新人スタッフが不安なら、質問しやすいように落ち着いて話す。

理念を共有するなら、自分がなぜそれを大切にしているのかを熱く話す。

技術で間違えたなら、何が違ったのかを冷静に説明する。

全部、目的は同じです。

相手にちゃんと届くようにすることです。

私自身も、スタッフへ熱く教えすぎて、

「なんで分からないんだ」

と思ってしまった経験があります。

その経験があったから、今は少し意識的に温度を変えるようにしています。

患者さんには熱を。

スタッフへのマネジメントには冷静さを。

もちろん場面によって例外はありますが、今の私にはこのバランスが一番合っています。

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