スタッフが疲弊する患者さんを、経営者はどう考えるか|「断る・続ける」の二択ではない

今回は、少しぶっちゃけた話です。

そして、私自身の失敗談も含めた話になります。

整体院や訪問マッサージ、鍼灸院、接骨院などをやっていると、どうしても対応が難しい患者さんはいらっしゃいます。

ものすごく細かいところまで気にされる方。

要望がとても多い方。

毎回かなり神経を使って対応しなければいけない方。

もちろん、それだけ困っているからこそ、いろいろなことが気になってしまうという場合もあると思います。

なので、

「要望が多い患者さんは悪い患者さんだ」

という話をしたいわけではありません。

ただ、現実問題として、担当しているスタッフがかなり疲弊してしまうケースはあります。

そんな時に経営者はどうするのか。

私は、これは結構大事な経営判断だと思っています。

目次

「あの患者さん、かなり疲れます」とスタッフから言われたら

例えばスタッフから、

「あの患者さんを担当すると、かなり疲れてしまいます」

と言われたとします。

その時に、

「仕事なんだから我慢して」

だけで終わらせていいのか。

私はそうは思いません。

経営者には、患者さんを大切にすることと同時に、スタッフを守る役割もあると思っています。

一人の患者さんを担当することで、スタッフがかなり精神的に消耗してしまう。

その影響が、その後に訪問する他の患者さんにまで出てしまう。

仕事が終わってからもずっと引きずってしまう。

そこまでいっているのであれば、経営者は一度立ち止まって考えた方がいいと思います。

ただし、スタッフが「大変」と言ったら全部断ればいいわけでもない

一方で、難しいのはここです。

スタッフから、

「この患者さんは大変です」

という声が出るたびに、すべてお断りする。

これも私は少し違うと思っています。

なぜなら、現場で働く以上、いろいろな患者さんに対応する力も必要だからです。

説明に時間がかかる方。

質問が多い方。

こちらの思い通りに話が進まない方。

いろいろな方と関わる中で、施術技術とは別の「対応力」も少しずつ身についていきます。

だから、スタッフを守ることと、スタッフが成長する機会を全部なくすことは同じではありません。

「これは経験として乗り越えてほしいことなのか。それとも、もう経験という範囲を超えて疲弊させているのか」

私はそこを考えます。

経営者自身に現場経験があるかでも判断は変わる

ここは、経営者自身が現場に出た経験があるかどうかでも結構変わると思います。

自分自身もその患者さんを担当したことがあり、

「確かにこれはかなり神経を使うな」

と分かっている。

そうであれば、スタッフが言っていることもイメージしやすいですよね。

一方で、現場にほとんど出たことがない経営者の場合は、より丁寧にスタッフの状態を見る必要があると思います。

数字だけを見ると、患者さん一人が減るというのは売上が減ることです。

だから、

「せっかく来てくれているんだから続けてもらおう」

と考えたくなる気持ちも分かります。

でも、その一人を担当し続けることでスタッフ一人が大きく疲弊したらどうでしょうか。

他の患者さんへの対応が悪くなる。

仕事そのものが嫌になる。

最悪の場合、退職につながる。

そうなれば、一人分の売上だけの話ではなくなります。

患者さん一人の売上と、スタッフ一人の消耗を単純に同じ天秤に乗せない方がいい。

私はそう思っています。

場合によっては「こちらから終了する」という選択肢もある

ケースによっては、こちらから施術を終了させていただくという選択肢もあると思っています。

もちろん、これは簡単に決めることではありません。

患者さんの状態。

要望の内容。

スタッフとの関係。

こちらが改善できる部分はないのか。

担当者を変更すれば対応できないか。

説明の仕方を変えれば解決しないか。

そういったことを一度考えます。

それでも継続が難しい。

スタッフへの負担が大きすぎる。

そう判断したのであれば、お断りすることも経営者の仕事だと思っています。

私も実際にお断りしたことがある

私自身、過去にこちらから施術の継続をお断りさせていただいたことがあります。

最初の頃は、そこでそのまま終了したこともありました。

「今後はうちでは対応できません」

とお伝えして、それで終わりです。

でも、後から自分の中に少しモヤモヤが残ったんですよね。

逆の立場だったらどうだろう。

困っていてサービスを利用していたのに、

「もううちではできません」

と言われて、そのまま終わったら。

私だったら、

「じゃあ、この後どうすればいいの?」

と思うと思います。

それからは、可能であれば同業者を紹介するようにした

そこで、その後に同じようなケースがあった時には、他の訪問マッサージ事業者さんを紹介させていただきました。

うちでは対応が難しい。

でも、患者さん自身は施術を必要としている。

だったら、別のところで対応していただけないか相談してみる。

もちろん、必ず受け入れてもらえるとは限りません。

それでも、

「うちでは無理なので、あとはご自身で探してください」

で終わるよりは、できる範囲で次の選択肢を用意する。

私はその方が、自分たちとしても納得できます。

断る時に、その会社の姿勢が出る

こういう時の経営者の行動を、スタッフは結構見ています。

患者さんとの関係を終了する時に、

「もう大変だから切ってしまおう」

で終わるのか。

それとも、

「うちでは難しい。でも、この患者さんが次に困らないように、できることはないかな」

と考えるのか。

私は、こういうところに会社の姿勢が出ると思っています。

誠意というのは、相手の要望を全部受け入れることではありません。

できない時にも、できる範囲で相手のことを考えることだと思っています。

患者さんを断ることは、患者さんを大切にしていないことではない

昔の私は、

「患者さんを断るのは良くないことだ」

という感覚が結構強かったと思います。

売上のこともありますし、患者さんを大切にしたいという思いもあります。

でも経営を続けていると、それだけではうまくいかないことも分かってきました。

患者さんを大切にする。

スタッフも大切にする。

どちらか一方だけでは会社は続きません。

そして、スタッフを守るために患者さんとの関係を終了することが、必ずしも不誠実とは限らないと思っています。

大切なのは、その判断をどうするか。

そして、終了すると決めた後にどう行動するかです。

「スタッフを守る」と「スタッフを甘やかす」は違う

この判断には、今でも明確な正解はないと思っています。

スタッフが少し大変そうだから、すぐ患者さんを断る。

それでは現場での対応力が育たないかもしれません。

逆に、

「成長のためだから」

と言って、明らかに疲弊しているスタッフにずっと我慢させる。

それも違います。

だから結局は、一人ひとりを見ながら判断するしかありません。

このスタッフにとって、今は経験してもらった方がいいのか。

こちらがフォローすれば乗り越えられるのか。

それとも、もう会社側が守るべき段階なのか。

経営者がその境目を考える。

私はそれが大切だと思っています。

売上だけでは判断できないことがある

患者さん一人ひとりはもちろん大切です。

でも、スタッフも同じように大切です。

だから、

「売上になるから続ける」

「スタッフが嫌がったから断る」

という単純な話にはしたくありません。

スタッフへの負担。

患者さんの状況。

スタッフの成長。

他の患者さんへの影響。

会社としてできるフォロー。

いろいろなものを見ながら判断する。

そして、もし終了するのであれば、できるだけ患者さんにも誠意を持って対応する。

経営者の仕事は、すべての患者さんを抱え続けることではなく、患者さんとスタッフの両方を見ながら、会社としてどこまで責任を持つのかを判断することだと思っています。

私自身、最初からこう考えられていたわけではありません。

一度お断りして、そのまま終わらせてしまった。

そこに自分自身がモヤモヤした。

だから次からは、できる範囲で他社を紹介するようにした。

経営をしていると、こういう小さな失敗から、自分たちなりのやり方が少しずつできていくんだと思います。

ここまで読んで、
何か引っかかるところがあった方へ。

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