整体をやっていると、たまにこんなことがあります。
こちらとしては整体を受けてもらいたい。
でも患者さんは、
「普通にマッサージしてほしい」
と思っている。
こんな時、どうするのがいいのでしょうか。
これは結局、
「自分はどういう施術者としてやっていきたいのか」
という方針によって変わると思います。
ただ、特に開業したばかりの頃には、私はあまり極端に考えない方がいいと思っています。
なぜなら私自身、一度ここで失敗しているからです。
「うちはマッサージをやりません」でもいい
まず、本当にマッサージをやりたくないのであれば、
「うちはマッサージではなく、整体を行っています」
とはっきり伝えていいと思います。
それ自体は悪いことではありません。
むしろ、自分の提供するものが明確なのであれば、その方が親切な場合もあります。
ただ、その場合は施術を始める前に伝えた方がいいです。
患者さんはマッサージをしてもらえると思って料金を払った。
ところが実際には、自分が想像していたものとまったく違う整体だった。
これでは、いくら施術者側に考えがあったとしても、患者さんからすれば、
「思っていたものと違う」
となってしまいます。
だったら最初から、
「申し訳ありませんが、当院ではマッサージを目的とした施術は行っていません」
と伝える。
その上で来院するかどうかを決めてもらった方が、お互いにいいと思います。
でも、開業したばかりだと話は少し変わる
ある程度患者さんが来ていて、売上も安定している。
自分の施術にも実績がある。
ブランディングもできている。
そういう状態なら、
「私はマッサージをしません」
と強く打ち出すこともできます。
でも、開業したばかりだったらどうでしょう。
まだ患者さんも少ない。
売上も安定していない。
自分の整体技術だって、これから経験を積んでいく段階かもしれません。
そんな時に、
「自分は整体師なんだから、マッサージなんて絶対にやらない」
と決めてしまう。
私は、ここは少し考えてもいいと思っています。
私がやったのは「グラデーションをつける」こと
私自身も、同じことで悩んだ時期があります。
そこで最終的にやったのが、
整体かマッサージかの二択にせず、その間にグラデーションを作ることでした。
例えば、マッサージを希望される患者さんが来たとします。
そこでいきなり、
「うちは整体なのでマッサージはしません」
とは言いません。
まず体を見させてもらう。
そして、私の施術上の見立てとして必要だと思えば、
「最初に少し体のバランスを整えさせてください」
「その上で筋肉の緊張を見ながら、マッサージもしていきますね」
と説明する。
患者さんが納得してくださった上で、整体的な施術とマッサージの両方を行っていました。
これなら、こちらが必要だと思っている施術もできる。
患者さんが求めているマッサージもできる。
少なくとも私の場合は、このやり方に変えてから大きなトラブルになることはありませんでした。
大切なのは、勝手に施術内容を変えないこと
ここで大切なのは、説明だと思います。
患者さんがマッサージを希望しているのに、何も言わずに自分のやりたい整体だけを始める。
これは違うと思います。
こちらにどれだけ理論があったとしても、患者さんには患者さんの希望があります。
だから、
「私はこう考えているので、最初にこういうことをやらせてください。その後にマッサージをします」
と伝える。
そして、それでいいか確認する。
自分の考えを説明することと、自分の考えを押しつけることは違います。
ここは施術者として、かなり大切だと思っています。
患者さんが本当にマッサージだけを求めているなら、それも言ってくれる
もちろん、中には、
「いや、今日はとにかくマッサージをしてほしい」
という方もいます。
私の経験では、本当にそういう希望が強い方は、きちんと伝えてくださることが多かったです。
その時にまた、どうするか考えればいい。
ただし、そのためには患者さんが希望を言える空気を作っておくことも大切です。
施術者が、
「私のやり方が正しいんです」
という空気を出していたら、患者さんは本当はマッサージをしてほしくても言えないかもしれません。
こちらの考えは伝える。
でも、患者さんの希望も言ってもらう。
その中で施術内容を決めていく。
私はそのくらいでいいと思っています。
整体だけでやっていきたい気持ちは、すごく分かる
ただですね。
整体だけでやっていきたいという施術者の気持ちも、私はすごく分かります。
私自身、柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師としていろいろ勉強してきて、整体も学んできました。
勉強すればするほど、
「自分はこの理論でやっていきたい」
「この技術に賭けたい」
という気持ちが出てきます。
これは施術者なら、結構あるんじゃないでしょうか。
でも、経営をするのであれば、もう一つ考えなければいけないことがあります。
食べていけなければ続けられない。
ものすごく現実的な話ですが、これは大切です。
開業した瞬間から、整体が一流とは限らない
もう一つ、自分自身の経験から思うことがあります。
「これから整体で食べていく」
と決めた。
だからといって、その瞬間から自分の整体技術が一流になるわけではありません。
当たり前なんですけどね。
実際に患者さんを施術してみたら、思ったほど結果が出ないこともあります。
そうすると、ものすごく不安になります。
患者さんは来ない。
売上も上がらない。
施術結果も思ったほど出ない。
その状態で、
「でも自分は整体しかやらない」
と意地になってしまう。
それは、本当に自分の信念を貫いているのでしょうか。
それとも、ただ自分のやり方に固執しているだけなのでしょうか。
私は一度、ここを間違えました。
私も「整体だけでやる」と決めて失敗した
過去に私は、
「もうこれで食べていくんだ」
と、自分の整体にかなり強くこだわっていた時期があります。
患者さんが何を求めているかよりも、自分が良いと思う整体を優先していました。
今振り返ると、かなり自分のエゴが出ていたと思います。
その結果、患者さんが離れてしまったこともあります。
クレームにつながったこともあります。
その経験があったから、私は考え方を変えました。
信念を捨てる必要はない。でも、最初から100か0かにする必要もない。
そう思うようになりました。
自分の理想と、今の経営状況を見比べる
最終的に整体だけでやっていきたい。
それは全然いいと思います。
だったら少しずつ、そちらへ近づけていけばいい。
最初は整体30%、マッサージ70%かもしれない。
自分の技術が上がって、患者さんから整体を求めてもらえるようになったら、50%、50%になるかもしれない。
さらに実績ができれば、整体だけにしてもいい。
割合は何でもいいんです。
大切なのは、
「自分が何をやりたいか」だけではなく、「患者さんが何を求めているか」と「今の経営状態」の三つを見ること。
その間で、自分なりの落としどころを探す。
私はそれでいいと思っています。
信念とエゴは、意外と近い
施術家として、
「自分はこれをやりたい」
というものを持つことは大切です。
それがないと、自分の特徴も作れません。
でも、その思いが強くなりすぎると、いつの間にか患者さんが置いていかれることがあります。
私自身がそうでした。
だから、もし今、
「自分は整体だけで食べていくんだ」
と考えている方がいて、でも思うように患者さんが増えていないのであれば。
一度だけ、自分の理想と今の経営状況を見比べてみてもいいと思います。
全部捨てる必要はありません。
少しグラデーションをつけるだけでもいい。
患者さんに合わせることは、自分の信念を捨てることではありません。
私自身、一度失敗したからこそ、今はそう思っています。

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