今回は、個人で整体院や鍼灸院、訪問マッサージを開業したばかりの方に向けて、チラシやパンフレットを作る際の費用について書いてみようと思います。
開業当初は、どうしても使えるお金が限られています。
まだ売上も安定していません。
この先どれくらい患者さんが増えるのかも分からない中で、家賃や設備費、広告費などを支払わなければなりません。
できるだけお金を使いたくないと思うのは、当然のことです。
しかし、開業したことを知ってもらわなければ、患者さんは増えません。
特に訪問マッサージの場合は、ケアマネジャーの方や地域の関係者へ、自分たちがどのような事業所なのかを説明するための資料が必要になります。
整体院や鍼灸院でも、院内にパンフレットを置いたり、地域へチラシを配ったりすることで、紹介や問い合わせにつながることがあります。
お金はない。
それでも、集客のための資料は必要になる。
そのような時に、一度調べてみてほしいのが補助金です。
開業当初ほど、広告物へお金を使うのが怖い
ある程度売上が安定してからであれば、チラシやパンフレットへ数十万円を使う判断もしやすくなります。
しかし、開業したばかりの時期は違います。
チラシを作って、本当に問い合わせが来るのか。
パンフレットを印刷しても、誰にも見てもらえないのではないか。
せっかくお金を使っても、すべて無駄になるのではないか。
そのような不安があります。
私自身も、開業当初から十分な資金があったわけではありません。
それでも、訪問マッサージのことを知ってもらうためには、営業へ持っていく資料が必要でした。
口頭でサービス内容を説明するだけでは、相手の手元に何も残りません。
ケアマネジャーの方が後から思い出した時や、利用者さんへ説明する時に見られるパンフレットがあることは、非常に大切です。
だからといって、資金が少ない時期にまとまった金額を出すのは簡単ではありません。
その負担を軽くする方法の一つが、補助金の活用でした。
地域や自治体によって、利用できる制度がある
補助金や助成金は、国が行っているものだけではありません。
自治体や地域によって、さまざまな制度があります。
創業したばかりの事業者を対象としたもの。
広告宣伝費の一部を補助してもらえるもの。
ホームページ制作や設備導入に使えるもの。
地域によって内容や条件は異なりますが、調べてみると、自分の事業に使える制度が見つかることがあります。
ただ、自分一人でインターネットを検索しているだけでは、どの制度が使えるのか分かりにくいこともあります。
そのような時は、地域の商工会や商工会議所へ一度相談してみるとよいと思います。
補助金の情報だけでなく、事業計画や創業後の経営について相談できる場合もあります。
私自身も、補助金を利用したことで、開業後の販促物を整えることができました。
私が利用した小規模事業者持続化補助金
私が利用したのは、「小規模事業者持続化補助金」という制度でした。
利用したのは、記憶では2019年前後だったと思います。
少し前のことなので細かな条件については曖昧な部分もありますが、当時の私の申請では、チラシやパンフレットの制作、印刷、配布などに使った費用の一部を補助していただきました。
私の記憶では、対象となる費用を一度こちらで支払い、申請した事業が完了した後に、認められた経費の3分の2が補助される仕組みでした。
例えば、対象経費として45万円が認められれば、その3分の2に当たる30万円が補助されるという考え方です。
つまり、45万円分の販促を行っても、自分が最終的に負担する金額は15万円ほどになります。
これは、開業したばかりの事業者にとって非常に大きな差です。
現在の小規模事業者持続化補助金も、小規模事業者が経営計画に基づいて行う販路開拓などを支援する制度で、通常枠の補助率は原則として3分の2とされています。ただし、公募回や申請枠、対象経費、上限額などは変わるため、申請時点の公募要領を必ず確認する必要があります。
申請は面倒でも「30万円分の仕事」と考える
補助金と聞くと、
「書類が多そうだな」
「事業計画なんて書いたことがない」
「申請方法を調べるのが面倒くさい」
と思う方もいるかもしれません。
私も、実際に申請を始めるまでは、分からないことが多くありました。
普段使わない言葉も出てきますし、何をどこまで書けばよいのか迷うこともあります。
ただ、その時に私は、
「これは30万円分の仕事だ」
と考えるようにしました。
そう考えると、不思議と動けます。(笑)
数時間から数日かけて書類を作り、それによって30万円の補助を受けられる可能性がある。
そう考えれば、分からないことを調べたり、商工会議所へ相談したりする手間にも意味があると思えます。
もちろん、申請すれば必ず採択されるわけではありません。
申請内容の審査もありますし、採択後も報告書や証拠書類の提出が必要です。
それでも、資金の少ない開業当初であれば、挑戦する価値は十分にあると思います。
当時はパンフレットやチラシ、ポスティングに使った
私が補助金を利用した際には、パンフレットとチラシの制作を中心に費用を使いました。
細かな金額については記憶が曖昧ですが、おおよその内訳としては、
- パンフレットの印刷費
- チラシの印刷費
- パンフレットとチラシのデザイン費
- ポスティング業者への配布費
といった内容でした。
パンフレットの印刷には、十数万円ほど使ったと思います。
チラシもある程度まとまった枚数を作りました。
デザインは、自分で一から作るのではなく、当時はココナラを利用して個人のデザイナーの方へ依頼しました。
自分が良いと思ったデザインを作っている方を探し、こちらの事業内容やイメージを伝えて制作してもらいました。
さらに、作成したチラシの一部は、ポスティング業者へ依頼して地域へ配布しました。
実際に、そのチラシを見た方から反応もありました。
すべてのチラシが問い合わせにつながったわけではありませんが、開業したことを地域へ知ってもらうための活動として、利用してよかったと思っています。
補助金は、先に支払う必要があることに注意する
補助金を利用する際に注意したいのは、最初から費用を支払わなくてよい制度ではないことです。
多くの場合、まず事業者側が対象となる費用を支払います。
その後、事業を実施したことが分かる書類や、領収書、振込記録などを提出し、内容が認められた後に補助金が支払われます。
先ほどの例であれば、45万円を最初に用意する必要があります。
後から30万円が補助されるとしても、支払い時点では45万円が必要です。
そのため、採択されたからといって、手元にないお金を無理に使うのは危険です。
補助金が入金されるまでの期間も考え、事業の資金繰りに無理がない範囲で計画する必要があります。
補助金は、手元のお金がなくても何でも購入できる制度ではありません。
この点は、申請前に理解しておいた方がよいと思います。
申請前に発注や支払いをしない
もう一つ注意したいのが、発注や契約、支払いを行うタイミングです。
補助金によっては、採択や交付決定を受ける前に発注したものは、補助対象にならない場合があります。
先にパンフレットを作り、その後で、
「補助金があると知ったので申請しよう」
と思っても、すでに支払った費用は対象にならない可能性があります。
そのため、補助金を利用したい場合には、最初に制度の条件を確認する必要があります。
何を作るのか。
どの業者へ依頼するのか。
いつ契約するのか。
いつ支払うのか。
どの書類を残しておかなければならないのか。
これらを確認してから動いた方が安全です。
小規模事業者持続化補助金では、商工会や商工会議所が発行する書類が必要になる場合があり、その発行にも一定の日数がかかります。締切直前では間に合わないこともあるため、早めの相談が必要です。
今ならデザイン費をAIで抑えられる可能性がある
私が補助金を利用した頃は、チラシやパンフレットをきれいに作ろうと思えば、デザイナーへ依頼するのが一般的でした。
現在は、AIを使ってデザイン案や文章を作ることもできます。
例えば、AIへ、
- 訪問マッサージのパンフレットを作りたい
- 対象は高齢の利用者さんとそのご家族
- 安心感のある雰囲気にしたい
- 医療や介護の資料として違和感のないデザインにしたい
- サービス内容と料金、利用までの流れを載せたい
といった情報を伝えれば、文章や構成の案を出してもらえます。
自分が好みだと思うチラシやパンフレットの画像を参考として見せ、
「このような雰囲気に近づけたい」
と相談することもできます。
AIだけですべてを完成させるのが難しい場合でも、文章やレイアウトの下案を作ってからデザイナーへ依頼すれば、作業量や費用を抑えられる可能性があります。
ただし、AIで作った文章や画像をそのまま使用する場合には、誤った情報が含まれていないか、著作権や商用利用に問題がないかを確認する必要があります。
特に、健康保険、医師の同意書、施術の効果に関する表現は、見た目だけでなく内容も慎重に確認した方がよいと思います。
補助金があるからといって、不要なものまで作らない
補助金を利用できると分かると、せっかくだから上限まで使おうと考えてしまうことがあります。
しかし、補助されるからといって、必要のないものへお金を使えば、自分の負担も増えます。
3分の2が補助される場合でも、残りの3分の1は自分で負担します。
また、補助対象として認められなかった費用については、全額を自分で支払わなければなりません。
大切なのは、補助金を使い切ることではありません。
自分の事業に必要な販促を、通常より少ない負担で行うことです。
誰に渡すパンフレットなのか。
どこへ配るチラシなのか。
何を読んだ人にしてほしいのか。
問い合わせ先は分かりやすいか。
補助金の申請をする前に、こうした目的を決めておく必要があります。
訪問マッサージでは、パンフレットが信頼につながった
私の場合は、訪問マッサージを中心に事業を行っていたため、パンフレットは営業の際に活用しました。
ケアマネジャーの方へ、訪問マッサージの内容や利用方法を口頭で説明した後、パンフレットをお渡しします。
パンフレットがあれば、営業へ伺った時に忙しくて詳しく話せなかったとしても、後から内容を確認していただけます。
また、訪問マッサージを必要とする利用者さんがいた時に、パンフレットを見ながら説明してもらうこともできます。
初回無料体験へ伺った際にも、きちんとしたパンフレットがあることで、利用者さんやご家族の安心感は変わったと思います。
どこの誰か分からない人が、自宅へ来て施術をする。
そう考えれば、不安を感じるのは当然です。
事業所名や資格、所在地、サービス内容、利用方法などが整理された資料があれば、最低限の身元や事業内容を確認できます。
パンフレットがあるだけで契約が決まるわけではありません。
それでも、最初の信頼を作る一つの材料にはなりました。
整体院でも、紹介を生む道具になる
パンフレットは、訪問マッサージだけに必要なものではありません。
個人の整体院や鍼灸院でも、院内に置いておくことで活用できます。
施術を受けた方が、家族や友人へ整体院を紹介したいと思った時、口頭だけでは詳しく説明できないことがあります。
そのような時に、持ち帰れるパンフレットがあれば紹介しやすくなります。
「私が通っているところだから、一度見てみて」
と渡すことができます。
施術内容や院の考え方、場所、予約方法などが書かれていれば、受け取った方も自分で確認できます。
広告として一方的に配るだけではなく、既存の患者さんが誰かを紹介する時の道具としても使えるということです。
その意味でも、パンフレットは一度作って終わる消耗品ではなく、口コミや紹介を助ける営業資料になります。
まずは商工会や商工会議所へ相談してみる
補助金を利用したことがない方にとっては、最初の一歩が一番難しく感じるかもしれません。
制度名を検索しても、聞き慣れない言葉が多く、途中で読むのをやめたくなることもあります。
そのような時は、一人ですべて理解してから動こうとしなくてもよいと思います。
まず、地域の商工会や商工会議所へ、
「整体院を開業したばかりで、チラシやパンフレットを作りたいのですが、利用できる補助金はありますか」
と相談してみる。
そこから始めればよいと思います。
開業当初だからこそ、使える制度を調べてほしい
開業当初は、お金がありません。
売上も安定していません。
それでも、事業を知ってもらうためには、ある程度の営業活動や広告が必要です。
その費用をすべて自分のお金だけで負担しようとすると、できることが限られてしまいます。
補助金を使えば、同じ自己負担額でも、より多くのパンフレットを印刷したり、チラシを配布したりできる可能性があります。
もちろん、補助金は何もしなくてももらえるお金ではありません。
計画を作り、申請し、採択された後に事業を行い、最後に実績を報告する必要があります。
それなりの手間はかかります。
それでも、私にとっては利用してよかった制度でした。
面倒だと感じた時は、
「これは30万円分の仕事だ」
と考えてみてください。
少しだけ、書類を作る手が動きやすくなるかもしれません。
個人で整体院や鍼灸院、訪問マッサージを開業した方には、高額な販促物をすべて自費で作る前に、利用できる制度がないかを一度調べてみてほしいと思います。

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