個人で開業して経営がうまくいかない時は、自分の施術を動画で見た方がいい

今回は、整体院や鍼灸院などを個人で開業したものの、なぜ経営がうまくいかないのか分からない方に向けて書いてみようと思います。

開業する時には、それぞれに志があると思います。

自分の施術で、困っている人を助けたい。
地域に根差した院を作り、この街を元気にしたい。
自分が学んできた方法で、長く不調を抱えている方の力になりたい。

そのような思いを持って、開業する方は多いと思います。

ところが、実際に始めてみると、新規の患者さんは多少来てくださるのに、その後の継続につながらないことがあります。

広告を変えてみる。
ホームページを修正してみる。
初回料金を安くしてみる。

いろいろ試しても、思うようにリピートしていただけない。

そして、

「何が悪いのか分からない」

という状態になってしまいます。

そのような方に、私がまずおすすめしていることがあります。

自分が実際に施術している様子を、動画か音声で記録してみることです。

目次

自分が思っている施術と、実際の施術は違うことがある

自分の施術について聞かれた時、多くの方は、自分なりに丁寧に対応していると答えると思います。

患者さんの話をきちんと聞いている。
体の状態を分かりやすく説明している。
必要な施術を提案している。

無理に通院を勧めたり、回数券を押し売りしたりはしていない。

本人としては、本当にそのつもりなのだと思います。

ただ、自分が思っている自分の姿と、患者さんから見えている姿が同じとは限りません。

特に、開業したばかりで経営に余裕がない時には、本人が気づかないところで焦りが表に出ることがあります。

どうにか継続してもらいたい。
この患者さんが次も来てくれなければ、今月の売上が厳しい。
せっかく来てくれたのだから、何とか回数券を購入してもらいたい。

生活がかかっているので、そう考えてしまうこと自体は仕方のないことです。

しかし、その焦りが説明の仕方や言葉の選び方に出ていれば、患者さんには伝わります。

「押し売りは絶対にしていない」と思っていた

以前、整体院を経営している方から、思うようにリピートにつながらないという相談を受けたことがあります。

私はその方に、

「経営が苦しいことで、少し押し売りのような説明になっていませんか」

と聞いてみました。

すると、その方は、

「自分は絶対にそのようなことはしていません」

とはっきり答えました。

本人にその自覚がないのであれば、別の原因かもしれません。

そこで私は、

「一度、自分の施術を動画で撮ってみましょう」

と提案しました。

もちろん、患者さんには事前に許可をいただきます。

外部へ公開するためではなく、自分の施術や説明を客観的に確認するために撮影したいと伝えます。

患者さんとの関係性にもよりますが、目的をきちんと説明すれば、協力してくださる方もいらっしゃいます。

撮影が難しい場合には、音声だけでも構いません。

大切なのは、自分の記憶ではなく、実際のやり取りを後から確認できる状態にすることです。

動画を見た本人が青ざめた

実際に施術の様子を撮影し、その方自身に見てもらいました。

すると、動画を見た本人が青ざめました。

そして、

「自分は押し売りなんて絶対にしていないと思っていました。でも、まさか自分がこんなことを言っているとは思いませんでした」

と話したんです。

本人には、患者さんを無理に通わせようという悪意はありません。

むしろ、その患者さんに良くなってほしいと思っていました。

施術中も、真剣に体と向き合っていたと思います。

ただ、経営が切羽詰まっていたことで、説明の中に売上への焦りが入り込んでいました。

必要な提案をしているつもりでも、患者さんから見れば、通院を強く迫られているように感じる伝え方になっていたんです。

これは、本人が悪い人だから起こったわけではありません。

自分の置かれている状況が、無意識のうちに行動へ影響していただけです。

しかし、本人がそのことに気づいていなければ、修正することはできません。

患者さんのための提案と、売上のための提案は似ている

施術者は、患者さんにとって必要だと思うことを提案します。

一回の施術だけでは難しいのであれば、継続した方がよいと説明する。

生活習慣の見直しが必要であれば、それを伝える。

施術の間隔についても、その方の状態に合った提案をする。

こうした説明は、患者さんのために必要なものです。

ただし、患者さんのための提案と、売上を作るための提案は、言葉だけを見るとよく似ています。

「今の状態なら、週に一度は来た方がいいと思います」

「まずは何回か続けてみましょう」

「この回数券を使った方が通いやすいですよ」

同じ言葉であっても、どのような気持ちで、どのような表情や口調で伝えているかによって、患者さんの受け取り方は変わります。

患者さんの状態を見た上で、本当に必要だと考えて提案しているのか。

それとも、自分の売上が心配で、何とか次の予約を取ろうとしているのか。

本人の中でも、この二つが混ざってしまうことがあります。

だからこそ、自分の説明を客観的に確認する必要があります。

動画や音声には、言い訳のできない事実が残る

自分の施術を思い返すだけでは、正確に振り返ることはできません。

人はどうしても、自分に都合よく記憶します。

丁寧に説明したつもりだった。

患者さんの話を十分に聞いたつもりだった。

押しつけるような言い方はしていないつもりだった。

しかし、動画や音声には、実際に行ったことがそのまま残ります。

患者さんの話を途中で遮っていないか。
自分ばかり話していないか。
難しい専門用語を使いすぎていないか。
不安をあおるような説明をしていないか。
次回予約の話を急ぎすぎていないか。
患者さんの反応を確認せず、話を進めていないか。
施術が流れ作業になっていないか。

実際の記録を見れば、こうしたことが分かります。

自分自身が行っていることなので、動画を見た後に、

「自分はそんなことをしていない」

とは言えません。

つらい部分もありますが、それが客観視することの大きな価値だと思います。

自分が本当にやりたい施術なのかを問い直す

動画や音声を確認したら、自分に一つ問いかけてみてください。

「自分がやりたかったのは、本当にこのような施術や説明なのか」

開業する時には、理想があったはずです。

患者さんの話を丁寧に聞きたい。

その方の体の状態に合った施術をしたい。

無理に通院させるのではなく、納得した上で利用してもらいたい。

売上だけを追うのではなく、本当に必要なことを伝えたい。

その理想と、動画に映っている自分の行動が一致しているでしょうか。

もし一致していなければ、落ち込むと思います。

「自分はこんなことをしていたのか」

「患者さんからは、このように見えていたのかもしれない」

と、恥ずかしくなることもあります。

しかし、そこで落ち込んで終わる必要はありません。

ギャップが分かったのであれば、修正できます。

自分の問題に気づければ、具体的に修正できる

経営がうまくいかない理由が分からない状態では、何を直せばよいのかも分かりません。

ホームページが悪いのか。
料金が高いのか。
技術が足りないのか。
立地が悪いのか。
患者さんとの相性なのか。

原因が分からないまま、さまざまな部分を変えてしまいます。

しかし、実際の施術を確認して、説明が押しつけがましくなっていたと分かれば、修正する場所は明確になります。

例えば、患者さんへ提案する前に、本人の希望を確認する。

一方的に来院頻度を決めず、選択肢を伝える。

不安をあおって継続を促すのではなく、現在の状態と考えられる見通しを説明する。

その場で次回予約を迫らず、考える時間を作る。

自分が話す時間を減らし、患者さんの話を聞く時間を増やす。

問題が見えれば、このように具体的な改善ができます。

施術や説明を少し修正するだけで、患者さんが感じる安心感は大きく変わることがあります。

その結果として、リピート率が変わる可能性もあります。

リピートしない理由を、患者さんのせいにしない

患者さんが継続しなかった時に、

「本気で良くなりたいと思っていない」
「健康への意識が低い」
「金額だけで判断された」

と考えたくなることがあります。

もちろん、患者さん側の事情で継続できないこともあります。

仕事や家庭の都合もあります。
経済的な理由もあります。
一度受けてみて、自分には合わないと感じる方もいるでしょう。

すべての患者さんがリピートすることはありません。

ただ、何人もの新規患者さんが来ているのに、ほとんど継続につながっていないのであれば、自分たちの対応も一度見直した方がよいと思います。

患者さんが悪いと決めてしまえば、自分は変わらなくて済みます。

しかし、それでは経営の状況も変わりません。

まず、自分に修正できる部分がないかを見る。

そのためにも、実際の施術を記録することは有効です。

撮影する時には、患者さんの同意を必ず得る

施術の動画や音声を記録する場合には、患者さんへ目的をきちんと説明し、事前に同意を得る必要があります。

無断で撮影や録音をしてはいけません。

例えば、

「自分の施術や説明を客観的に振り返り、今後の対応を改善するために記録させていただけませんか。外部へ公開することはありません」

と伝えます。

患者さんが少しでも不安そうであれば、無理にお願いしない方がよいと思います。

記録したデータについても、第三者が見られないように管理し、確認が終わった後は適切に削除する必要があります。

顔を映す必要がなければ、施術者側だけを撮影する方法もあります。

動画への抵抗が強ければ、最初は音声だけでも多くのことに気づけます。

患者さんの安心やプライバシーを優先した上で行うことが大切です。

一度だけではなく、修正後にも確認する

最初の記録を見て問題へ気づいたら、改善策を考えます。

ただし、改善しようと思っただけで、本当に変わったかどうかは分かりません。

自分では、今度こそ話を聞けたと思っていても、まだ説明が長いかもしれません。

押しつけないように気をつけた結果、今度は必要な説明まで不足することもあります。

そこで、ある程度修正した後に、もう一度動画や音声を確認します。

前回と比べて、何が変わったのか。
患者さんが話す時間は増えたのか。
提案の仕方は柔らかくなったのか。
必要なことは、きちんと伝えられているのか。

定期的に確認すれば、自分の変化も分かります。

最初は自分の姿を見ることが恥ずかしくても、繰り返すうちに、感情ではなく改善点として見られるようになります。

施術技術だけが、リピート率を決めるわけではない

リピートにつながらないと、技術が足りないのではないかと考える方もいます。

そこで、さらに技術セミナーへ参加したり、新しい施術方法を学んだりします。

学び続けることは大切です。

しかし、リピートしない原因が説明や対応にある場合、技術を増やすだけでは状況は変わりません。

どれだけ良い施術をしていても、患者さんが安心できなければ継続にはつながりにくくなります。

自分の話を聞いてもらえなかった。
強く通院を勧められた。
質問しにくい雰囲気だった。
何をされているのか分からなかった。

このように感じれば、施術後に体が少し楽になっていても、次回の予約をためらうことがあります。

施術技術と同じように、説明、接し方、提案の仕方も見直す必要があります。

理想と現実の差に気づくには勇気がいる

自分の施術を動画で見ることは、決して楽しい作業ではありません。

自分の声や話し方に違和感を持つこともあります。

思っていたより表情が硬いかもしれません。

患者さんへ同じ言葉を何度も繰り返しているかもしれません。

自分が理想としていた姿と、現実の姿に大きな差があれば、愕然とすることもあります。

それでも、患者さんにとって良い施術を提供したいのであれば、見ないままにはしない方がよいと思います。

自分が恥ずかしい思いをしないことよりも、患者さんが安心して施術を受けられることの方が大切です。

問題を見つけることは、自分を責めるためではありません。

患者さんへ、より良い対応をするためです。

無料でできる経営改善だからこそ、試してみてほしい

経営を改善する方法というと、高額なコンサルタントへ依頼したり、広告費を増やしたり、新しい設備を購入したりすることを考えるかもしれません。

しかし、自分の施術を記録して見直すことであれば、大きなお金はかかりません。

スマートフォンがあればできます。

撮影した動画を見る時間も、一回の施術分程度です。

それでも、自分では気づかなかった大きな問題が見つかる可能性があります。

経営がうまくいかない時には、外側の集客方法ばかりを変えたくなります。

しかし、新規の患者さんがある程度来てくださっているにもかかわらず、継続につながらないのであれば、院へ来た後の体験を見直す必要があります。

その第一歩として、自分の施術や説明を事実として確認してみる。

これは、地に足をつけて経営を考え直すためにも有効だと思います。

経営がうまくいかない理由は、自分から見えないところにある

自分では丁寧に施術しているつもり。

無理な提案はしていないつもり。

患者さんのために説明しているつもり。

その「つもり」と、実際に患者さんが受け取っているものの間に、差が生じていることがあります。

そして、その差を本人が把握できていないことが、経営がうまくいかない理由の一つになっている場合があります。

自分の行動と、自分が理想としている行動の間には、どのような違いがあるのか。

それを知るためには、記憶や感覚だけに頼らず、実際の施術を見返すことです。

見たくないものが映っているかもしれません。

落ち込むかもしれません。

それでも、問題に気づくことができれば、そこから変えられます。

経営がうまくいかない理由が分からない時ほど、まず自分の実際の行動を確認する。

患者さんにとって、より良い施術や対応をするためにも、一度勇気を出して、自分の施術を動画や音声で振り返ってみてほしいと思います。

ここまで読んで、
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