訪問マッサージの営業で、実際にケアマネジャーへ何を話していたのか

今回は、訪問マッサージを開業した当初、私がケアマネジャーの方へ営業に伺った際、実際にどのような話をしていたのかを書いてみようと思います。

開業したばかりであれば、事業所の名前を知っているケアマネジャーの方は、ほとんどいません。

当然ながら、どのような人が運営しているのかも、どのような施術をしているのかも分からない状態です。

そのため、まず必要なのは、サービスの詳しい説明よりも、

「自分は何者で、どのような思いで訪問マッサージを始めたのか」

を知っていただくことだと思います。

私自身、営業が得意だったわけではありません。

それでも、自分を上手に見せようとするのではなく、どのような気持ちで開業したのか、患者さんにどのような関わりをしたいのかを、自分なりの言葉で伝えるようにしていました。

目次

最初に、事業所の場所を伝えた

新しく開業した事業所の名前を聞いても、ケアマネジャーの方にはどの地域の事業者なのか分かりません。

そこで最初に、

「この近くの〇〇に事務所があります」

「〇〇駅の近くで開業しました」

というように、事務所の場所を具体的にお伝えしていました。

訪問マッサージでは、対応できる地域が重要です。

ケアマネジャーの方からすれば、患者さんの自宅まで本当に来てもらえるのか、急な相談にも対応してもらえそうかという点は気になるはずです。

住所だけを伝えるのではなく、相手が分かりやすい駅や建物、地域の名前を使って説明した方が、事業所の存在をイメージしてもらいやすくなります。

開業に至った思いを、自分の言葉で伝えた

場所を説明した後は、なぜ訪問マッサージを始めたのかをお話ししていました。

開業したばかりの事業者には、実績がありません。

患者さんの人数も少なく、長年続けてきた事業者のような安心感もありません。

その中で伝えられるものの一つが、開業に至った思いや仕事に対する熱意です。

どのような経験をしてきたのか。

なぜ雇われたままではなく、自分で事業を始めようと思ったのか。

どのような患者さんを支えたいと思っているのか。

患者さんに対して、どのような施術やサポートをしていきたいのか。

こうしたことを、格好よくまとめようとするのではなく、自分の言葉で率直にお伝えしていました。

開業したばかりの時期だからこそ、まだ形になっていない部分を、熱意によって補えることもあります。

営業が苦手な時ほど、自分の気持ちばかり見てしまう

営業が苦手だと、どうしても自分のことばかりが気になります。

「うまく話せるだろうか」

「緊張しているのが伝わったらどうしよう」

「嫌な顔をされたらどうしよう」

私自身も、最初はそのようなことばかり考えていました。

しかし、ケアマネジャーの方が知りたいのは、営業に来た人が緊張しているかどうかではありません。

知りたいのは、

  • どのような気持ちで仕事をしているのか
  • どのような患者さんに対応できるのか
  • ほかの訪問マッサージ事業者と何が違うのか
  • 紹介した患者さんを安心して任せられるのか
  • 相談した時に、手間なく動いてもらえるのか

ということです。

自分がどう見られるかではなく、相手は何を知りたいのか。

そこへ視点を移すことができると、営業で話す内容も少しずつ見えてきます。

「お願いしやすい事業者」であることも大切

どれだけ施術への熱意があっても、実際に依頼するまでの手間が多ければ、ケアマネジャーの方は紹介しづらくなります。

患者さんやご家族へ説明しなければならない。

必要な書類を用意しなければならない。

医師の同意書について確認しなければならない。

その後の連絡や報告も必要になります。

ケアマネジャーの方は、訪問マッサージ以外にも多くの業務を抱えています。

そのため、私は営業の際に、サービスの良さだけではなく、依頼をいただいた後にどのような流れで対応するのかも伝えるようにしていました。

相談をいただいたら、こちらから患者さんやご家族へ連絡すること。

必要な手続きについて、できる限りこちらで説明すること。

施術を始めた後も、状態を報告すること。

こうした部分が分かると、ケアマネジャーの方も「この事業者なら相談しやすそうだ」と感じやすくなります。

どれだけ技術があるかだけではなく、どれだけ手軽に相談できるかも、紹介をいただく上では大切だったと思います。

顔写真や趣味を載せた名刺も作ってみた

営業について調べると、名刺を工夫した方がよいという話をよく目にします。

私も最初は、それを実践しました。

名刺に自分の顔写真を入れ、裏面にはこれまでの経歴や趣味などを載せました。

顔や人柄を覚えていただきやすくするためです。

もちろん、何も書かれていない名刺よりは、相手に自分を知っていただく材料になります。

ただ、私の実体験としては、顔写真や趣味の欄に強く興味を持ってくださる方は、それほど多くありませんでした。

名刺を工夫すれば、それだけで紹介につながるというものではなかったんです。

趣味よりも「何が得意なのか」の方が覚えてもらいやすかった

それよりも反応があったのは、

「私は、こういう患者さんへの対応を得意としています」

と伝えた時でした。

ケアマネジャーの方は、日頃からさまざまな症状や病気を抱える利用者さんの支援をしています。

そのため、施術者の趣味よりも、どのような患者さんをお願いできるのかの方が、仕事と直接結びつきます。

ただし、「腰痛が得意です」といった表現だけでは、あまり印象に残らないこともあります。

腰痛などへの対応は、多くの訪問マッサージ事業者がすでに伝えているからです。

ケアマネジャーの方が担当している腰痛の患者さんには、すでに別の事業者が入っている可能性もあります。

それならば、ほかの事業者と同じことを伝えるより、自分の経験や手技を踏まえて、少し領域を絞った方が覚えていただきやすくなります。

今なら「パーキンソン病の方への対応が得意です」と伝える

例えば今の私であれば、

「パーキンソン病の方への対応を得意としています」

と伝えるかもしれません。

もちろん、言葉だけで得意だと名乗ればよいわけではありません。

実際の経験や知識があり、その方の状態に応じて何ができるのかを説明できることが前提です。

それでも、「腰痛が得意です」と言うよりも、

「パーキンソン病の方に対して、体の動かしにくさや姿勢、歩行などを見ながら対応しています」

と伝えた方が、ケアマネジャーの方の記憶には残りやすくなります。

「そういう方をお願いできる事業者は珍しいですね」

と思っていただければ、すぐに紹介につながらなかったとしても、後日該当する利用者さんが現れた時に思い出してもらえる可能性があります。

訪問マッサージの営業では、すべての患者さんを取りにいこうとするよりも、最初は少し狭い領域から自分の立ち位置を作る方法もあります。

何を伝えるかより、どうすれば覚えてもらえるか

営業を始めたばかりの時は、

「自分は何を話せばいいのだろう」

「用意した説明を全部伝えなければ」

と考えがちです。

しかし、それだけでは営業する側の視点に偏ってしまいます。

大切なのは、

「どうすればケアマネジャーの方に覚えてもらえるか」

という逆の視点です。

営業する側は、一度の訪問を強く覚えています。

しかし、ケアマネジャーの方には、さまざまな事業者が挨拶に来ています。

たくさんの名刺やパンフレットを受け取る中で、事業所名だけを覚えてもらうのは簡単ではありません。

そのため、

  • 地域のどこにある事業所なのか
  • どのような思いで開業したのか
  • どのような患者さんへの対応が得意なのか
  • 相談した後に、どこまで対応してもらえるのか

この中から、相手の記憶に残るものを一つでも作ることが重要です。

すべてを詳しく説明するよりも、

「パーキンソン病の方を得意としている、あの近くの事業者」

というように、一言で思い出してもらえる方が、後の紹介にはつながりやすいと思います。

不在の時には、一筆書いたメモを残した

営業へ伺っても、ケアマネジャーの方が不在の場合があります。

開業当初の私は、何度も新しいチラシを作るほど、経費に余裕がありませんでした。

そこで、すでに何度かお会いしている方には、メモや便箋へ一筆書いて残すこともありました。

「本日ご挨拶に伺いました。また改めてお伺いします」

という簡単な内容です。

それを、対応してくださった方へ、

「〇〇さんにお渡しいただけますか」

とお願いしていました。

印刷されたチラシだけよりも、手書きの言葉が少し添えられている方が、目に留まりやすいこともあります。

大がかりな営業ツールが用意できなくても、自分の名前を思い出していただく工夫はできます。

相性のよいケアマネジャーと出会うには、数を回るしかない

話す内容や名刺を工夫したとしても、すべてのケアマネジャーの方と関係を作れるわけではありません。

考え方が合う方もいれば、あまり相性が合わない方もいます。

これは営業の技術だけで、すべて解決できるものではないと思います。

私の場合も、いくつもの事業所へ足を運ぶ中で、たまたま話しやすい方や、自分の考えを理解してくださる方と出会いました。

その出会いを増やすためには、結局のところ、ある程度の数を回る必要があります。

一件でうまくいかなかったからといって、自分のサービスに価値がないわけではありません。

相手のタイミングが合わなかっただけかもしれませんし、その時には必要としている患者さんがいなかっただけかもしれません。

話す内容を工夫することは大切です。

しかし、それと同時に、とにかく足を運ぶことも必要です。

この部分は、特別な才能がなくても、自分の行動によって補うことができます。

まずは知ってもらい、思い出してもらう

訪問マッサージの営業では、初めて挨拶へ行ったその日に、患者さんをご紹介いただけるとは限りません。

まず事業所の存在を知っていただく。

次に、事業所名や自分の顔、得意とすることを覚えていただく。

その後、何度か接する中で、少しずつ信頼していただく。

その先に、患者さんの紹介があります。

最初から結果だけを求めてしまうと、紹介がなかった訪問は、すべて失敗に見えてしまいます。

しかし、

「今日は事業所の場所を知ってもらえた」

「得意なことを一つ伝えられた」

「名前をもう一度思い出してもらえた」

と段階を分けて考えると、営業へ行くハードルは少し下がります。

ケアマネジャーの方にいきなり自分たちのファンになってもらうことはできません。

知っていただき、覚えていただき、信頼していただく。

その過程を一つずつ進めていくことが、結果的に紹介へつながっていくのだと思います。

営業で話すべきことは、相手が知りたいこと

訪問マッサージの営業で何を話せばよいか迷った時は、自分が伝えたいことを並べるだけではなく、ケアマネジャーの方が何を知りたいのかを考えることが大切です。

私の場合は、

  • 事業所がどこにあるのか
  • なぜ訪問マッサージを始めたのか
  • 患者さんへどのような思いで関わるのか
  • どのような病気や状態への対応が得意なのか
  • 相談後に、どのような流れで動くのか

こうしたことを中心に伝えていました。

立派な営業トークを用意する必要はありません。

自分がなぜこの仕事をしているのか。

誰の役に立てるのか。

紹介後に、相手の手間をどれだけ減らせるのか。

それを、自分の言葉で分かりやすく伝えることの方が大切です。

そして、すぐに結果が出なくても足を運び続ける。

その中で、考え方の合うケアマネジャーの方と出会い、少しずつ信頼関係を作っていく。

訪問マッサージの営業で実際に必要だったのは、上手に話すことよりも、相手の記憶に残る伝え方と、相談しやすい関係を作ることだったのだと思います。

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