これは私自身が20代前半の頃に経験した話です。
柔道整復師の資格を取得して間もない頃、とある整骨院でアルバイトをしていました。
そこの先生は、ある徒手療法の理論を長年追求されていて、本当に技術の高い先生でした。
実際、その理論に関しては私より何倍も知識と経験があり、「この分野ではすごい!」と思うほどでした。
ある患者さんへの一言が印象に残っています
ある日、一人の患者さんを施術した後のことです。
先生は、「関節はこれだけ動くようになった。それでも症状が変わらないなら、精神的なものだね」とおっしゃいました。
もちろん、その可能性がゼロとは思いません。
実際に心理的な要因が症状へ影響することはあります。
ただ、その時の私は違和感を覚えました。
「本当にそれだけなのだろうか。」
「他に考えられる可能性はないのだろうか。」
そんなことを考えていたのを今でも覚えています。
理論が強いほど、見えなくなることがある
その経験を通して学んだことがあります。
それは、一つの理論を極めることは素晴らしい反面、その理論だけで全てを説明しようとしてしまう危険性もあるということです。
どんな理論にも得意な症例があります。
逆に、苦手な症例もあります。
もし自分が持っている理論だけで説明できなかった時、「患者さんの問題」と考えるよりも、「まだ自分が知らないことがあるのではないか」と考えられる方が、私は好きです。
だから私は様々な考え方を学びました
その経験があったからこそ、私は一つの理論だけに絞らず、様々な考え方を学ぶようになりました。
頭蓋骨へのアプローチ。
内臓へのアプローチ。
姿勢や重心の考え方。
神経や循環についての考え方。
そうした引き出しが増えたことで、施術中に考えられる仮説が圧倒的に増えました。
すると、不思議なくらい対応できる症状の幅も広がっていったんです。
もちろん、今でも分からない症例はあります。
でも、「まだ他に可能性があるかもしれない」と考えられるようになったことは、自分にとってとても大きな成長だったと思っています。
学ぶことは、やりがいにもつながる
知識が増えるということは、単に物知りになることではありません。
患者さんに対して考えられる選択肢が増えるということです。
それだけ「どうすればもっと良くなるだろう」と考えることができるようになります。
私は、それが施術の一番面白いところだと思っています。
もし今、何か一つの理論だけを学んでいるのであれば、それを極めることはとても素晴らしいことです。
ただ、その理論だけが正しいと思わず、他の考え方にも触れてみてください。
きっと今まで見えなかった景色が見えてきます。
そして何より、施術そのものがもっと楽しくなるはずです。

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