スタッフに仕事を任せられない経営者ほど成長が止まりやすい|80点で任せるという考え方

スタッフを雇ったのに、なかなか仕事を任せられない。

こういう経営者の方は、結構いらっしゃると思います。

特に、もともと自分一人で事業を作ってきた方や、完璧主義の傾向が強い方ほど、

「自分でやった方が早い」

「スタッフに任せると少し不安」

「結局、自分が確認しないと気になる」

となりやすいんですよね。

その気持ちは、私もよく分かります。

自分で作ってきた会社ですし、患者さんから何か問題があれば、最終的に責任を取るのは経営者です。

だから、ついつい自分で見たくなる。

ただ、スタッフを雇って会社を大きくしていきたいのであれば、どこかで仕事を渡していかなければなりません。

人を雇ったのに、すべての判断と仕事を経営者が握ったままであれば、会社の成長速度は結局、経営者一人分のままです。

目次

スタッフを雇っても、仕事を渡さなければ成長速度は変わらない

例えば、一人で事業をしていたとします。

施術。

患者さんへの対応。

営業。

採用。

経理。

ホームページ。

広告。

会社の仕組みづくり。

全部自分でやっています。

そこで、一人スタッフを採用しました。

本来であれば、今まで自分がやっていた仕事の一部をスタッフへ渡すことで、自分には別のことをする時間が生まれます。

二人目、三人目と増えれば、さらに仕事を分担できます。

その結果、会社全体として動ける量が増えていきます。

ところが、

「スタッフに任せるのは不安だから」

と、経営者がすべて確認する。

施術も確認する。

患者さんへの対応も確認する。

スケジュールも確認する。

何か判断が必要になるたびに、自分のところへ持ってきてもらう。

こうなると、スタッフが増えても、最終的なボトルネックはずっと経営者です。

人数は増えているのに、会社の処理能力は経営者の判断速度以上には上がらない。

これでは、事業の成長スピードはそれほど変わりません。

会社が大きくなるほど、経営者の仕事はむしろ増えていく

スタッフが増えると、経営者の仕事が全部減るわけではありません。

むしろ、新しい仕事が増えます。

採用。

新人教育。

スタッフとの面談。

評価制度。

給与。

社会保険。

有給休暇。

労務管理。

就業規則。

会社の仕組みづくり。

経営数字の確認。

新しい事業の検討。

人数が増えれば増えるほど、経営者にしかできない仕事が増えていきます。

その状態で、現場の細かな仕事まで全部自分で持っていたら、当然時間が足りなくなります。

だから私は、ある程度人数が増えてきたら、現場に関する仕事は少しずつスタッフへ渡していった方がいいと思っています。

経営者がやるべきなのは「現場を全部やること」から変わっていく

一人で経営していた時は、現場で結果を出すことがそのまま会社の結果になります。

自分が一人多く患者さんを施術すれば、売上が上がる。

自分が営業へ行けば、新規の依頼につながる。

だから、とにかく自分が動けばよかったんですよね。

でも、人が増えてくると少しずつ役割が変わります。

自分が患者さんを一人多く施術するより、スタッフ五人が働きやすくなる仕組みを一つ作った方が、会社全体への影響が大きいことがあります。

自分が一件現場へ行くより、新しいスタッフを一人採用できた方が、その後何年にもわたって会社へ影響することもあります。

そうなると、経営者自身が、

「今、自分がやるべき仕事は何だろう」

と考える必要が出てきます。

私自身も、スタッフが5人くらいになって考え方が変わった

私自身も、最初からすべて任せられていたわけではありません。

スタッフが少ない頃は、自分でかなり現場も見ていました。

ただ、スタッフが五人くらいになってきた頃から、

「このまま全部自分が見続けるのは難しいな」

と感じるようになりました。

人数が増えれば、当然スタッフからの相談も増えます。

患者さんについての相談。

勤務についての相談。

新人教育についての相談。

会社の仕組みについての相談。

それを全部自分一人が受けながら、自分自身も現場を細かく管理する。

これはだんだん難しくなってきます。

そこで、現場をある程度まとめてくれる責任者を置く形に変えていきました。

責任者を置いたら、それで終わりではない

ここで一つ注意した方がいいと思っていることがあります。

「責任者を置いたから、もう全部任せよう」

ではありません。

責任者になったスタッフ側から考えてみてください。

今までは一スタッフでした。

そこから、

「今日からあなたが責任者です」

となります。

本人としては、

「頑張ろう」

と思います。

でも同時に、

「この判断で本当にいいのかな」

「ここまで自分で決めていいのかな」

「これは社長へ相談した方がいいのかな」

という不安も当然出ます。

今まで経営者が判断していたものを、一部自分で判断するようになるわけですからね。

だからこそ、責任者へ仕事を任せるのであれば、経営者と話す時間をきちんと作ることが大切だと思っています。

任せた後ほど、経営者と話す時間を確保する

仕事を任せるというと、経営者が関わる時間を減らすイメージがあるかもしれません。

でも、最初はむしろ逆だと思っています。

任せ始めた頃ほど、定期的に話します。

最近どうなのか。

困っていることはないか。

判断に迷ったことはないか。

スタッフ同士で何か起きていないか。

患者さんへの対応で気になることはないか。

そういうことを話せる時間を作っておきます。

すると責任者側も、

「今すぐ聞くほどではないけど、ちょっと気になるな」

ということを抱え込まずに済みます。

「次に社長と話す時に聞けばいい」

と思えます。

これは、本人の安心感としてかなり大きいと思います。

相談する場所があるから、責任者も判断できる

経営者からすると、

「責任者なんだから、自分で考えてほしい」

と思うこともあります。

もちろん、最終的にはそうなってほしいです。

ただ、最初から全部自分で判断できる人はなかなかいません。

少しずつ経験を積みます。

判断する。

あとで経営者と話す。

「その判断でよかったよ」

と言われる。

また別の問題が起きる。

今度は自分で判断する。

そうやって判断できる範囲が広がっていきます。

前の記事でも書きましたが、私はスタッフ教育では、判断した結果だけでなく、

「なぜそう判断したのか」

を大切にしています。

責任者についても同じです。

責任者に任せることで、経営者は別の仕事へ時間を使える

現場で何か起こるたびに、スタッフ全員が経営者へ連絡する。

この状態だと、経営者の時間は細切れになります。

採用について考えている途中に連絡が来る。

広告について考えている途中に質問が来る。

会社の制度を作っている途中で相談が来る。

一つひとつは数分かもしれません。

でも、それが一日に何度も起きると、集中して考える時間がなくなります。

そこで、現場に責任者がいる。

日常的な判断は責任者がする。

本当に経営判断が必要なものだけ、経営者へ上げてもらう。

そして、定期的に責任者とまとめて話す。

この形になると、経営者は経営者としてやるべきことに時間を使いやすくなります。

完璧主義の経営者ほど、仕事を渡しにくい

仕事をスタッフへ渡せない理由はいろいろあります。

ただ、その一つに、完璧を求めすぎることがあると思っています。

自分ならこうする。

この順番でやる。

この言葉で説明する。

ここまで確認する。

スタッフにも、同じようにやってほしい。

気持ちは分かります。

何年も自分でやってきた仕事ですから、自分の中にはある程度完成形があります。

でも、よく考えてみると、スタッフは自分ではありません。

自分と全く同じやり方をできる人なんて、基本的にはいないと思った方がいいです。

100点を求めると、いつまでも仕事を渡せない

例えば、自分が100点だと思っている仕事があります。

スタッフに任せてみた。

結果は80点だった。

そこで、

「20点足りないから、やっぱり自分でやろう」

となる。

また別のスタッフへ任せる。

85点だった。

でも、

「自分ならもっとできる」

と思って取り返す。

これを繰り返していたら、いつまで経っても仕事は経営者の手元から離れません。

そして経営者自身は、

「スタッフを雇ったのに全然楽にならない」

となります。

でも、スタッフからしたら、

「任されたと思ったら、結局取り上げられる」

となります。

これでは、お互いにしんどいですよね。

私は「80点くらいできていればいい」と考えた方がいいと思う

全部の仕事に当てはまるわけではありません。

患者さんの安全に関わること。

法律に関わること。

金銭に関わる重大な判断。

こういった部分は、当然高い精度が必要です。

ただ、それ以外の仕事まで全部100点を求める必要はないと思っています。

自分から見て80点くらいできている。

会社として困らない。

患者さんにも大きな不利益はない。

その状態なら、一度任せる。

残りの20点は、そのスタッフが経験しながら少しずつ上げていけばいい。

80点で任せられるかどうかは、会社を大きくしていくうえでかなり重要だと思っています。

経営者の100点と、会社に必要な100点は同じとは限らない

ここも考えた方がいいところです。

経営者が、

「これは100点じゃない」

と思っていることが、本当に会社にとって問題なのか。

単純に、

「自分のやり方と違う」

だけではないか。

ここは分けて考えた方がいいです。

例えば、患者さんへの説明。

自分なら、この順番で話す。

スタッフは別の順番で話す。

でも、患者さんはきちんと理解している。

必要な説明もできている。

それなら問題ありません。

自分と同じに直す必要はないんですよね。

「自分ならこうする」を基準にしすぎると、スタッフが苦しくなる

経営者が全部、

「自分ならこうする」

で評価してしまうと、スタッフはかなり苦しくなります。

だって、その正解は経営者の頭の中にしかないからです。

本人なりに考えた。

患者さんにも問題はなかった。

会社のルールも守った。

でも、

「私ならそうしない」

と言われる。

それが続けば、スタッフは自分で判断しなくなります。

「どうせ社長に確認した方がいい」

となります。

以前の記事でも書きましたが、経営者のコピーを作ることがスタッフ教育ではありません。

任せるとは、経営者のやり方を手放すことでもある

仕事を任せるというのは、単純に作業を渡すだけではないと思っています。

「自分だったらこうする」

を少し手放すことでもあります。

スタッフなりのやり方を認める。

自分より多少時間がかかっても、まず任せる。

自分とは違う方法でも、目的が達成できていれば受け入れる。

これができないと、結局すべて自分でやることになります。

完璧主義そのものが悪いわけではありません。

むしろ自分一人で仕事をしている時には、そのこだわりが質につながることもあります。

ただ、組織を作る段階になると、その完璧主義が成長を止めることがあります。

一人で100点を作るより、複数人で80点を出せる方が強いこともある

例えば、経営者一人が100点の仕事を一日に10件できるとします。

スタッフ三人が80点の仕事をそれぞれ10件できれば、会社全体では30件対応できます。

しかも、そのスタッフたちが経験を積めば、80点が85点、90点と上がっていきます。

経営者が100点を守るために全部抱えていれば、一人分から増えません。

組織を作るというのは、自分一人の完成度だけを見るのではなく、会社全体でどれだけ価値を提供できるかを見ることでもあります。

任せる仕事と、経営者が持ち続ける仕事を分ける

もちろん、何でもかんでもスタッフへ渡せばいいわけではありません。

経営者が持ち続けた方がいい仕事もあります。

例えば、会社全体の方向性。

理念。

資金繰り。

大きな投資判断。

採用の最終判断。

会社として重大なリスクを伴う判断。

こうしたものは、経営者が持っていた方がいいと思います。

一方で、日々の現場運営。

スタッフ同士の細かな調整。

日常的な患者さん対応。

新人スタッフへの一部教育。

備品管理。

現場で完結できる判断。

こうしたものは、徐々に責任者やスタッフへ移していく。

この線引きが必要です。

責任者には「仕事」ではなく「判断」を少しずつ渡す

責任者を作る時に、単純に仕事量だけ増やすのは違うと思っています。

今までの施術に加えて、

「これもやって」

「これも管理して」

となると、本人がただ忙しくなります。

そうではなくて、少しずつ判断を渡します。

今まで経営者へ確認していたことを、

「この範囲ならあなたが決めていいよ」

とする。

そして、迷った時には相談できるようにする。

そうすると、責任者としての経験が積み上がります。

責任者と話す時間は、経営者にとっても大切

責任者との面談は、責任者を安心させるためだけではありません。

経営者にとっても重要です。

現場から少し離れてくると、経営者には見えなくなるものが増えます。

患者さんの反応。

スタッフ同士の雰囲気。

新人がどこで困っているか。

会社のルールで使いにくいもの。

現場で起きている小さな問題。

責任者と定期的に話すことで、それを知ることができます。

つまり、責任者は経営者の代わりに現場を見る存在にもなっていきます。

経営者が全部現場にいる必要はなくなる

責任者が育ってくると、経営者自身がすべての現場へ入らなくても会社が動くようになります。

これは、単に経営者が楽になるという話ではありません。

経営者が別の仕事をできるようになるということです。

採用を強くする。

新しい集客経路を作る。

スタッフ教育を改善する。

新しい事業を考える。

会社の制度を整える。

こうした仕事へ時間を使えます。

それが、次の成長につながります。

自分にしかできない仕事を減らすことも、経営者の仕事

経営者の中には、

「この仕事は自分にしかできない」

という仕事がたくさんある方もいると思います。

でも、本当にそうなのかは一度考えた方がいいです。

今は自分しかできない。

でも、教えればできるようになるものではないか。

経験を積ませれば任せられるものではないか。

マニュアルを作れば渡せるものではないか。

責任者を育てれば手放せるものではないか。

そうやって、

「自分しかできない仕事」

を少しずつ減らします。

経営者がいないと全部止まる会社より、経営者がいなくても日常業務が動く会社の方が強いですよね。

最初は80点でも、任せ続けなければ100点には近づかない

スタッフに初めて仕事を渡したら、自分より完成度が低いのは当たり前だと思います。

経営者はその仕事を何年もやっています。

スタッフは初めてです。

同じレベルをいきなり求める方が無理があります。

最初は80点。

場合によっては70点。

そこからフィードバックをする。

また任せる。

経験する。

少しずつ上がる。

そして、ある時、自分より上手になる部分が出てくることもあります。

でも、最初の80点の段階で仕事を取り上げてしまったら、その成長は起こりません。

任せることで、スタッフ自身の成長速度も上がる

仕事を任せることは、会社を成長させるだけではありません。

スタッフの成長にもつながります。

自分で判断する。

責任を持つ。

後輩へ教える。

問題が起きたら考える。

経営者へ相談する。

こうした経験は、単純に施術だけをしていたら得られません。

最初は、

「責任者なんて不安です」

と思っていたスタッフでも、経験を積めば変わります。

本人の見る範囲も広がります。

それは、その人自身にとっても大きな成長だと思っています。

経営者が手放せるかどうかで、会社の成長速度は変わる

スタッフを雇うこと自体が、会社を大きくするわけではありません。

雇ったスタッフへ、仕事と判断を少しずつ渡していく。

その人ができることを増やす。

さらにその人が後輩を育てる。

そうやって、経営者以外にも会社を動かせる人が増えていく。

そこで初めて、組織としての成長スピードが上がります。

人を雇うことと、組織を作ることは同じではありません。

仕事を渡し、判断を渡し、任せられる人を増やしていくことで、初めて組織になっていくのだと思います。

100点を求めるより、80点で任せて一緒に育てる

完璧主義の経営者ほど、スタッフへ任せることには不安があると思います。

自分の方が早い。

自分の方が上手。

自分ならもっと細かくできる。

おそらく、それは事実です。

でも、それを理由にずっと自分でやり続けると、会社も自分自身も、どこかで限界が来ます。

だから、会社として問題ない80点までできているのであれば、一度渡してみる。

そして責任者には、きちんと話せる時間を作る。

迷ったら相談できる。

失敗したら一緒に振り返る。

少しずつ任せる範囲を広げていく。

その方が、経営者自身も次の仕事へ進めます。

スタッフも成長できます。

そして会社全体の動ける範囲も広がります。

完璧な人に任せるのではなく、任せながらその人を育てていく。

私は、人が増えてきた会社では、この考え方がかなり大切だと思っています。

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