整体院や訪問マッサージでは、信頼してくださる患者さんを少しひいきしてもいいと思う

今回は、整体院や鍼灸院、訪問マッサージを利用してくださる患者さんとの関わり方について書いてみようと思います。

長く仕事をしていると、自分たちのことをとても信頼してくださる患者さんが現れることがあります。

毎週欠かさず利用してくださる方。

長い期間、継続して通ってくださる方。

家族や知人へ何人も紹介してくださる方。

こちらが特にお願いしたわけではないのに、自分たちのことを周囲へ勧めてくださる方もいます。

そのような患者さんに対しては、私は、ある程度ひいきしてもよいと思っています。

ひいきという言葉を使うと、少し聞こえが悪いかもしれません。

しかし、これはほかの患者さんの施術や対応の質を下げるという意味ではありません。

自分たちのことを長く信頼し、事業へ大きく貢献してくださっている方へ、その感謝を行動で返すという意味です。

目次

すべての患者さんを平等に扱わなければいけないのか

施術の仕事をしている方の中には、

「患者さんは全員平等に扱わなければならない」

と考える方も多いと思います。

もちろん、症状や年齢、職業、支払う金額などによって、施術を雑にしたり、態度を変えたりしてはいけません。

月に一度利用する方であっても、毎週利用する方であっても、目の前にいる時には誠実に対応する必要があります。

ただし、すべての患者さんに、どのような場面でもまったく同じ対応をすることが、本当の意味での公平なのかは少し考えてもよいと思っています。

例えば、毎週利用してくださり、長い間売上を支えてくださっている方がいるとします。

さらに、その方が何人もの知人を紹介してくださっている。

そのような方と、初めて一度だけ利用した方への対応が、どのような場面でも完全に同じでなければならないとは、私は思いません。

信頼してくださった期間や、事業への貢献に応じて、少し多く感謝を返すことは自然なことだと思います。

ほかの業界では、よく利用するお客さんを大切にしている

これは、整体院や訪問マッサージに限った話ではありません。

ホテルやレストランをよく利用する方であれば、

「〇〇様、いつもご利用いただきありがとうございます」

と声をかけられることがあります。

何度も利用しているお店で、名前や好みを覚えてもらっていると、やはりうれしいものです。

企業向けの取引であっても、長く契約している顧客や、取引額の大きな顧客には、担当者が細かく対応することがあります。

多くの業界では、長く利用し、売上に貢献してくださるお客さんを大切にすることは、特別おかしなことではありません。

ところが施術の業界になると、ひいきしているように見えることを必要以上に恐れる方がいます。

私は、ほかの患者さんに不利益を与えない範囲であれば、もっと素直に感謝を示してもよいと思っています。

一人の患者さんが売上の大きな割合を占めることもある

例えば、個人の整体院で月の売上が100万円だったとします。

そのうち、一人の患者さんだけで月に10万円を利用してくださっているとしたら、その方は売上全体の10%を支えてくださっていることになります。

個人で事業をしている場合、この10%は決して小さな数字ではありません。

その方が継続してくださることで、家賃や広告費、設備費などの一部を支払うことができます。

もちろん、患者さん自身は、そのようなことまで考えて利用しているわけではないでしょう。

それでも、経営する側は、誰がどの程度事業を支えてくださっているかを理解しておく必要があります。

だからといって、その患者さんだけ施術時間を極端に長くしたり、ほかの患者さんを後回しにしたりするという話ではありません。

何かお願いされた時に、可能な範囲で少し柔軟に対応する。

感謝の気持ちを、通常よりも一歩踏み込んで示す。

そのくらいのことは、してもよいと思っています。

長く利用してくださる方には、少し柔軟に対応する

例えば、いつも決まった時間に通ってくださる患者さんから、

「今週だけ、いつもの時間に行けないので変更できますか」

と相談されたとします。

その時間が、もともとは自分の休憩時間だったとしても、長く信頼してくださっている方であれば、私はできる限り対応します。

もちろん、その日の予定や体力的な問題もあります。

必ずすべての要望に応えるという意味ではありません。

ただ、対応できる状況であれば、

「いつも利用してくださっているので、今回はこちらで調整します」

と喜んで対応してもよいと思います。

患者さんも、普段から自分を大切にしてくれていると感じれば、さらに安心して通いやすくなります。

サービスというのは、施術の技術だけで成り立つものではありません。

この人は自分のことを覚えてくれている。

困った時には、可能な範囲で力になってくれる。

そうした関係性も、継続して利用する理由になると思います。

紹介してくださる方には、きちんと感謝を返す

売上への貢献は、毎月利用してくださる金額だけではありません。

家族や友人、知人を紹介してくださる方も、事業にとって非常にありがたい存在です。

広告を出しても、一人の患者さんに来ていただくまでには費用や時間がかかります。

それに対して、信頼している患者さんから、

「私が通っているところだから、一度行ってみたら」

と紹介していただけることは、何より強いきっかけになります。

紹介された方も、まったく知らない整体院へ行くより安心できます。

自分たちのことを信頼し、その信頼をほかの人へまで広げてくださっているわけです。

これは、本当にありがたいことです。

何人も紹介してくださった方には、節目に菓子折りをお渡ししたり、きちんと言葉で感謝を伝えたりしてもよいと思います。

高価なものを渡す必要はありません。

紹介に対する報酬のようにする必要もありません。

「いつも紹介してくださって、本当にありがとうございます」

という気持ちが伝わることが大切です。

特別に扱うことと、ほかの患者さんを雑に扱うことは違う

一部の患者さんを大切にすると聞くと、

「ほかの患者さんを軽く扱ってよいのか」

と思う方もいるかもしれません。

当然、そのような意味ではありません。

どの患者さんに対しても、施術や説明は丁寧に行う。

約束した時間を守る。

体の状態を真剣に考える。

こうした基本的な質は、誰に対しても同じであるべきです。

その上で、長く利用してくださる方や、何人も紹介してくださる方に、少し多く感謝を返す。

私は、この二つは両立できると思っています。

全員に同じことをするのが平等なのではなく、いただいた信頼に応じて感謝を返すことも、一つの誠実さではないでしょうか。

患者さんから信頼されていることは、当たり前ではない

患者さんが継続して通ってくださることは、決して当たり前ではありません。

整体院や鍼灸院は、世の中に数多くあります。

訪問マッサージの事業所も、自分たちのところだけではありません。

ほかにも選択肢がある中で、何度も自分たちを選んでくださっている。

さらに、家族や知人へ紹介してくださっている。

それは、その方が自分たちの施術や人柄、考え方を信頼してくださっているということです。

患者さんが自分たちのファンになってくださることは、経営者としても、施術者としても、とてもうれしいことです。

だから私は、そうした方を大切にしたいと思います。

単に売上が大きいからではありません。

長く信頼し、応援してくださっていることがありがたいからです。

ただし、一人の患者さんに頼りすぎてはいけない

ここまで、長く利用してくださる方や、紹介してくださる方を大切にした方がよいと書いてきました。

ただし、一つだけ注意しなければならないことがあります。

それは、特定の一人に頼りすぎないことです。

月の売上の中で、一人の患者さんが大きな割合を占めている。

その方からの紹介だけで、新しい患者さんが増えている。

この状態は、順調に見えます。

しかし、その方が何らかの事情で来られなくなった場合、経営に大きな影響が出ます。

引っ越しをするかもしれません。

仕事や家庭の事情が変わるかもしれません。

体調の変化によって、通えなくなることもあります。

訪問マッサージであれば、入院や施設への入所、亡くなられることによって、利用が終了することもあります。

これは、どれだけ良い関係を作っていても避けられないことです。

一人の患者さんが悪いわけでも、関係性に問題があったわけでもありません。

それでも、売上の多くを一人に依存していれば、その方が離れた時に事業が大きく揺らぎます。

順調な時ほど、依存していることに気づきにくい

特定の患者さんが毎月利用してくださり、さらに紹介までしてくださっていると、経営は順調に見えます。

新しい営業をしなくても、患者さんが増えていくこともあります。

すると、

「このままで大丈夫だろう」

「うちは口コミだけでやっていける」

と思いやすくなります。

しかし、その状態は、自分の事業が強くなったのではなく、一人の方の信頼や人間関係に支えられているだけかもしれません。

その方がいなくなった時に、初めて依存していたことへ気づきます。

事業を続けていると、順調な時ほど、新しい営業や情報発信を止めたくなります。

目の前の仕事が忙しくなり、今の患者さんを対応するだけで一日が終わるからです。

ただ、その状態に甘えていると、後になって大きなしっぺ返しを受けることがあります。

大切にすることと、依存することは違う

長く利用してくださる患者さんを大切にする。

時間変更などに、可能な範囲で柔軟に対応する。

紹介してくださったことに、きちんと感謝を返す。

これらは、これからも続けた方がよいと思います。

しかし、その方がいるから営業をしなくてもよい。

その方が紹介してくれるから、ほかの集客方法は必要ない。

その方の売上が大きいから、何をお願いされても断れない。

そこまでいくと、感謝ではなく依存になってしまいます。

特定の患者さんを大切にしながらも、新しい患者さんと出会う努力は続ける。

複数の集客経路を持つ。

一人の患者さんが離れても、事業全体が大きく崩れない状態を作る。

経営する側は、そこまで考えておく必要があります。

信頼には感謝を返し、経営では冷静さを持つ

患者さんを売上だけで見るべきではありません。

しかし、経営している以上、誰が事業を支えてくださっているのかを把握することも必要です。

長く通ってくださる方。

毎月多く利用してくださる方。

何人もの患者さんを紹介してくださる方。

そうした方には、感謝を言葉や行動で返してよいと思います。

それは不平等ではなく、いただいた信頼を大切にすることです。

一方で、その方がいなければ成り立たない事業にしてはいけません。

信頼してくださる患者さんには、素直に感謝する。

できる範囲で柔軟に対応する。

その一方で、経営者としては、一人に頼りすぎていないかを冷静に見る。

大切にすることと、依存することを混同しない。

患者さんとの良い関係を長く続けながら、事業も安定して続けていくためには、この両方が必要だと思っています。

ここまで読んで、
何か引っかかるところがあった方へ。

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