今回は、整体院や鍼灸院、訪問マッサージを経営するうえで、効率の良い仕組みがあるなら積極的に取り入れた方がよい、という話を書いてみようと思います。
今日、ありがたいことに、面接へ来てくださった方とお話しする機会がありました。
その中で、
「カルテはどのように管理しているんですか」
と質問されたんです。
私は、
「うちでは、スマートフォンから入力できるようにしています」
と答えました。
私たちにとっては、もう何年も前から行っていることなので、特別な仕組みという感覚はありませんでした。
しかし、その方が現在勤めているところでは、今でも紙のカルテへ手書きで記入しているそうです。
もちろん、紙で管理することがすべて悪いわけではありません。
ただ、業務の効率やスタッフの負担、過去の情報を探す手間まで考えれば、オンラインで管理するメリットはかなり大きいと思います。
より効率の良い方法があると分かっているのであれば、経営者は積極的に取り入れていくべきです。
カルテは、施術の記録を残すために必要なもの
整体院や鍼灸院、訪問マッサージでは、患者さんのカルテを記入します。
その日の訴えやご様子。
前回からどのような変化があったのか。
どのような考えのもとで施術を行ったのか。
どの部位にアプローチしたのか。
施術後にどのような変化が見られたのか。
次回は何を確認したいのか。
こうした内容を記録しておくことで、自分が次回も担当する際には、前回の施術を思い出すきっかけになります。
一週間前に何を行ったのかを、すべて頭の中だけで覚えておくことは難しいです。
患者さんの人数が増えれば、なおさらです。
カルテを見れば、
「前回はここへアプローチした」
「その時は、このような変化が出た」
「次はここを確認しようと考えていた」
という流れを思い出せます。
また、別のスタッフが担当する場合には、カルテが引き継ぎの役割を果たします。
患者さんに、前回と同じ説明を何度もしてもらわなくても済みます。
担当が変わっても、これまでの施術内容や経過を確認した上で対応できます。
カルテは、単に記録を残すための書類ではありません。
患者さんへ継続した施術を提供するための、大切な情報です。
紙のカルテは、探すだけでも時間がかかる
紙のカルテには、紙なりの分かりやすさがあります。
手元ですぐに開ける。
パソコンやスマートフォンの操作が苦手でも記入できる。
システムの不具合に左右されにくい。
そのような利点はあります。
ただし、患者さんの人数が増え、保存する期間が長くなるほど、管理は大変になります。
例えば、数年前に利用していた患者さんから、再び連絡があったとします。
紙で管理していれば、まず過去のカルテを探さなければなりません。
どの棚に入っているのか。
年度ごとに分かれているのか。
現在利用中の患者さんとは、別の場所に保管されているのか。
似た名前の患者さんのカルテと混ざっていないか。
保管場所が決まっていたとしても、何年分もの書類の中から一人分を探すには時間がかかります。
カルテを移動した人が元の場所へ戻していなければ、さらに探すことになります。
スタッフ同士で、
「この患者さんのカルテはどこにありますか」
「最後に使ったのは誰ですか」
と確認することもあるでしょう。
一件だけであれば大した時間ではないかもしれません。
しかし、この小さな手間が毎日のように重なれば、相当な時間になります。
オンラインであれば、検索すればすぐに見つかる
カルテをオンラインで管理していれば、患者さんの名前などで検索できます。
何年も前の記録であっても、条件を入力すればすぐに表示できます。
保管している棚を探す必要はありません。
誰かが別の場所へ移動させてしまうこともありません。
必要な情報が、数秒で見つかります。
この数秒と、紙の束の中から探す数分では、一回あたりの差は小さく見えるかもしれません。
しかし、患者さんの人数やスタッフの人数が増えるほど、その差は大きくなります。
一日に何度もカルテを開く。
毎週、過去の記録を確認する。
複数のスタッフが情報を共有する。
そう考えれば、検索できること自体が、かなり大きなメリットになります。
紙の保管場所が必要なくなる
紙のカルテを保存するには、保管場所が必要です。
患者さんが増えるたびに、紙の量も増えていきます。
数年分を保存すれば、棚や書庫が必要になります。
限られた院内のスペースを、書類の保管に使わなければなりません。
店舗の広さによっては、患者さんのために使える場所や、スタッフが作業する場所を圧迫することもあります。
オンライン上で管理できれば、紙を置くための物理的なスペースはほとんど必要ありません。
もちろん、データの保存容量やバックアップについて考える必要はあります。
それでも、書類が増えるたびに棚を増やすことと比べれば、管理はしやすいと思います。
手書きより、スマートフォンの方が早い人も多い
カルテの記入についても、紙よりスマートフォンの方が早いスタッフは多いと思います。
普段からスマートフォンを使っている方であれば、手書きよりも文字入力に慣れています。
定型文や選択項目を用意すれば、毎回同じ内容を最初から書く必要もありません。
患者さんのご様子。
施術した部位。
使用した施術方法。
注意事項。
こうした内容を選択式にし、必要な部分だけ文章で補足することもできます。
訪問施術であれば、院へ戻ってからまとめて書くのではなく、施術後の移動前に入力することもできます。
記憶が新しいうちに入力できるため、内容も正確になりやすくなります。
今は音声入力も使える
文字を入力すること自体が負担になるのであれば、音声入力を使う方法もあります。
現在は、スマートフォンへ話しかけることで文章を入力できます。
施術が終わった後に、患者さんの個人情報が聞こえない場所へ移動し、必要な内容を音声で入力する。
その後、誤変換がないかを確認して保存する。
この方法であれば、長い文章も短時間で残せます。
もちろん、音声入力をそのまま保存すると、誤変換や分かりにくい文章が残ることがあります。
最終的な確認は必要です。
それでも、一文字ずつ入力するより早いのであれば、使わない理由はあまりありません。
大切なのは、全員へ同じ方法を強制することではありません。
手入力が早い人は手入力を使う。
音声入力が楽な人は音声入力を使う。
選択式の方が使いやすければ、選択項目を増やす。
必要な記録を正確に残せる範囲で、スタッフが使いやすい方法を用意することです。
スタッフ一人の数分を軽く考えない
経営者にとっては、一回のカルテ入力にかかる数分は、小さなことに見えるかもしれません。
しかし、現場のスタッフは、それを毎日繰り返します。
一人の患者さんにつき、紙の準備、記入、ファイルへの収納に三分かかるとします。
一日に十人担当すれば三十分です。
それが複数のスタッフに発生します。
一か月、一年と積み重なれば、かなりの時間になります。
その作業が必要な時間なのであれば、もちろん行わなければなりません。
しかし、仕組みを変えることで一分に短縮できるのであれば、残りの二分は別のことに使えます。
患者さんの状態を振り返る。
次回の施術について考える。
スタッフ同士で情報共有する。
休憩を取る。
少し早く帰宅する。
どのように使うにしても、不要な作業に時間を取られるよりよいと思います。
経営者が減らすべきなのは、必要な仕事ではなく、仕事の中にある不要な手間です。
セキュリティを理由に、何も変えないのは違う
オンライン上で患者さんの情報を管理する場合、当然ながらセキュリティについて考える必要があります。
患者さんの個人情報を扱うため、誰でも見られる状態にしてはいけません。
端末のパスワードを設定する。
閲覧できるスタッフを制限する。
退職者のアクセス権を削除する。
共有アカウントを安易に使わない。
定期的にバックアップする。
端末を紛失した場合の対応を決めておく。
こうした管理は必要です。
ただ、セキュリティ上の問題があるからといって、紙であれば絶対に安全というわけでもありません。
紙のカルテも、置き忘れることがあります。
持ち出したまま紛失することもあります。
鍵のかかっていない場所に保管すれば、関係のない人が見る可能性もあります。
火災や水害によって失われることもあります。
紙にもオンラインにも、それぞれ注意すべき点があります。
必要なのは、危険があるから何もしないことではありません。
メリットとリスクを理解した上で、適切に管理することです。
多くの会社が取り入れているのには理由がある
世の中の多くの会社が、情報をオンラインで管理するようになっています。
それは、単に新しいものが好きだからではありません。
検索しやすい。
共有しやすい。
保存場所を取らない。
集計しやすい。
必要な人が必要な時に確認できる。
業務を効率化できる。
こうした利点があるから、多くの会社が取り入れています。
もちろん、ほかの会社が行っていることを、すべてまねすればよいわけではありません。
自分たちの事業に合うか。
現場のスタッフが使えるか。
導入費用に見合うか。
安全に管理できるか。
そこは考える必要があります。
しかし、明らかに効率の良い方法があり、多くの会社で実際に使われているにもかかわらず、
「今まで紙だったから」
「新しい仕組みはよく分からないから」
という理由だけで変えないのであれば、それは一度見直した方がよいと思います。
経営者が新しいことを苦手としていると、現場に負担が残る
新しい仕組みを取り入れる時には、覚えることがあります。
どのサービスを使うのか調べる。
初期設定をする。
スタッフへ説明する。
使いながら不具合を修正する。
最初は、今までの方法を続けるよりも手間がかかります。
そのため、忙しい経営者ほど、
「今のままでも何とかなっている」
と考えたくなります。
ただ、導入時の数時間や数日を避けた結果、スタッフが毎日余計な手間を負い続けるのであれば、会社全体で見れば効率的ではありません。
経営者が変化を避ければ、その負担は現場に残ります。
自分が新しいことを覚えるのが苦手だから、スタッフにはこれまでどおり紙で書いてもらう。
自分がシステムを調べるのが面倒だから、毎日手作業で集計してもらう。
それでは、管理する側の負担を減らすために、現場の負担を増やしていることになります。
タイムカードもオンラインへ変更した
私たちの会社では、最近タイムカードもオンラインへ変更しました。
スタッフがなるべく手間なく、出退勤を記録できるようにしたかったからです。
Googleフォームを使い、自分のスマートフォンから出勤と退勤を入力できる仕組みを作りました。
スタッフが行うのは、フォームを開き、必要な項目を入力して送信するだけです。
数秒で終わります。
紙のタイムカードを置く必要もありません。
直行直帰のスタッフが、タイムカードを押すためだけに事業所へ戻る必要もありません。
送信された内容は、自動的にデータとして保存されます。
誰が、いつ出勤し、いつ退勤したのかを確認できます。
月ごとの集計にも使えます。
入力した紙を回収し、別の表へ転記する作業も減らせます。
AIを使えば、自社に合う仕組みを自分で作れる
以前であれば、このような仕組みを作るには、システムに詳しい人へ依頼する必要があったかもしれません。
専門の会社へ相談し、費用を支払い、完成まで待つ。
少し修正したい場合にも、再び依頼する。
そのような流れが一般的でした。
しかし、今はAIへ相談しながら、自分で仕組みを作ることもできます。
私がオンラインのタイムカードを作った時も、AIを使いながらGoogleフォームやデータの管理方法を整えました。
完成までにかかった時間は、おおむね三時間程度です。
もちろん、最初から完璧に作れたわけではありません。
実際に動かしながら、不便な点を修正しました。
それでも、三時間程度の作業によって、スタッフ全員が毎日使う仕組みを改善できたわけです。
この三時間を惜しんで、スタッフが今後何年も不便な方法を使い続ける方が、会社としては損失が大きいと思います。
高額なシステムを入れることだけが効率化ではない
業務効率化というと、高額なシステムを導入することだと思う方もいるかもしれません。
しかし、必ずしも大きな費用をかける必要はありません。
今使っているツールの設定を変える。
Googleフォームを作る。
入力項目を減らす。
定型文を用意する。
同じ情報を何度も入力しなくて済むようにする。
紙で集めている内容を、オンラインの表へまとめる。
こうした小さな改善でも、現場の負担は減ります。
大切なのは、最新のシステムを導入しているように見せることではありません。
実際に働いている人の手間が減り、必要な情報を管理しやすくなることです。
便利な仕組みを導入しても、現場が使えなければ意味がない
一方で、経営者が新しい仕組みを入れさえすればよいという話でもありません。
機能が多すぎて、入力方法が複雑になる。
スマートフォンから使いにくい。
毎回何度もログインを求められる。
必要のない項目まで入力しなければならない。
導入した本人しか使い方を理解していない。
そのような仕組みでは、かえってスタッフの負担が増えます。
経営者にとって管理しやすくても、現場にとって使いにくければ、効率化とは言えません。
導入前には、実際に使うスタッフの動きを考える必要があります。
どの場面で入力するのか。
一回の入力に何秒かかるのか。
スマートフォンでも問題なく使えるか。
入力を間違えた時に修正できるか。
必要な情報を後から探しやすいか。
管理者の都合だけではなく、現場の使いやすさまで含めて設計することが大切です。
効率化によって、施術を雑にしてはいけない
効率を良くすることと、仕事を雑にすることは違います。
カルテの入力時間を短くするために、患者さんの状態をほとんど記録しない。
定型文だけを選び、誰に対しても同じ内容を残す。
考える時間まで削り、施術を流れ作業にする。
これでは、本来必要な仕事まで失われてしまいます。
カルテで大切なのは、紙に書くことでも、スマートフォンへ入力することでもありません。
患者さんの状態や、施術者が考えたことを、次回の施術につながる形で残すことです。
その目的を守りながら、入力方法や保存方法を効率化します。
効率化とは、必要な部分を削ることではなく、必要な仕事へ集中するために不要な手間を減らすことです。
スタッフから不便さを聞くことも、経営者の仕事
経営者自身は、現場のすべての作業を毎日行っているわけではありません。
そのため、スタッフがどこで不便を感じているのか、気づかないことがあります。
カルテ入力に時間がかかっている。
同じ内容を複数の書類へ書いている。
出勤報告と勤怠入力を別々に行っている。
必要なデータを毎月手作業で集計している。
昔から続いているため、スタッフも疑問を持たずに行っている作業があるかもしれません。
経営者や管理者は、定期的に、
「毎日の仕事で、面倒だと感じることはありませんか」
「同じことを何度も入力していませんか」
「もう少し楽にできそうな作業はありませんか」
と聞いてみてもよいと思います。
現場で働いている人にしか分からない不便さがあります。
その声を拾い、仕組みで解決できるものを改善することも、管理する側の役割です。
一度作った仕組みも、定期的に見直す
オンライン化したら、それで終わりではありません。
導入した当初は便利だった仕組みも、スタッフや患者さんの人数が増えることで使いにくくなる場合があります。
入力項目が増えすぎる。
データが探しにくくなる。
同じ内容を別のシステムにも入力するようになる。
担当者しか分からない仕組みになる。
新しいサービスが登場し、さらに使いやすい方法が見つかる。
仕組みも、定期的に見直す必要があります。
以前は最適だったからといって、現在も最適とは限りません。
会社の規模や働き方に合わせて、管理方法も変えていくべきです。
経営者や幹部の仕事は、現場が働きやすい仕組みを作ること
施術者の仕事は、患者さんの体に向き合い、必要な施術を提供することです。
もちろん、カルテの記入や勤怠の報告も、仕事として必要です。
ただ、その必要な作業を、わざわざ手間のかかる方法で続ける必要はありません。
スタッフが施術以外の作業に追われているのであれば、経営者や幹部は、その原因を考えるべきです。
個人の努力で早く入力してもらうのか。
残業して終わらせてもらうのか。
それとも、仕組みそのものを変えるのか。
経営者が考えるべきなのは、三つ目だと思います。
現場の頑張りに頼るのではなく、誰が行っても手間が少なく、間違いが起きにくい形にする。
一度整えた仕組みに固執せず、より良い方法があれば更新する。
今は、AIを使うことで、以前よりも小さな費用と短い時間で仕組みを作れるようになっています。
専門的な知識がなければ何もできない時代ではありません。
まずAIへ相談し、自分たちに必要な形を考えてみる。
小さく作って、実際に使いながら直していく。
それだけでも、会社の管理方法は大きく変わります。
今までの方法を続ける理由を、一度考えてみる
紙でカルテを書くこと。
紙のタイムカードを押すこと。
手作業でデータを集計すること。
昔から続いている方法には、それなりの理由があったと思います。
しかし、その理由が現在も残っているとは限りません。
「今までそうしてきたから」
というだけで続けているのであれば、一度立ち止まって考えた方がよいと思います。
もっと早くできないか。
もっと簡単にできないか。
スタッフの負担を減らせないか。
入力した情報を、別の業務にも活用できないか。
AIを使えば、自分たちで作れないか。
そのように考えることが、時代に合わせて会社を変えていく第一歩です。
経営者の仕事は、今ある仕事をスタッフへ渡すことだけではありません。
その仕事が、もっと良い方法でできないかを考え、現場が働きやすい仕組みに変えていくことです。
効率の良い方法があるなら、積極的に取り入れる。
そのために、経営者自身も新しいことを学ぶ。
一時的な導入の手間を惜しまず、これから何年も続く現場の負担を減らす。
カルテやタイムカードのような日常的な作業だからこそ、小さな改善が会社全体へ大きな影響を与えます。
時代に合わせて経営や管理の方法を変えていくことも、社長や幹部が担うべき大切な仕事だと思っています。

ここまで読んで、
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体の不調や症状について、
「どう捉えるか」という前提の話を書いています。
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