更年期障害で悩む女性へ:症状の裏側にある身体の変化と、整体的な視点
40代後半から50代前半の女性に多く見られる更年期障害。ホルモンバランスの急激な変化によって生じるこの不調は、ホットフラッシュやイライラ、頭痛、肩こり、動悸、息切れ、不眠、関節痛など、実に多様な症状として現れます。
品川区大井町の整体院の臨床での経験から、「体の中で何が起こっているのか」を整体の視点から紹介させていただきます。簡単に、イメージしやすいようにお伝えします♪
更年期障害とは?
閉経を迎える前後10年(およそ45〜55歳)を「更年期」と呼び、この時期に生じるさまざまな身体的・精神的症状をまとめて「更年期障害」と言います。
原因は、卵巣機能の低下によって女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少すること。これにより、自律神経の乱れやホルモン分泌のアンバランスが起き、全身にさまざまな不調を引き起こすのです。
整体的に見た「更年期障害の背景」
ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ・発汗)
閉経により月経がなくなると、骨盤内で必要だった血液量が減少します。
すると、身体は余った血液を上半身に循環させやすくなり、それが顔や頭に血が集まりすぎたような状態を作ります。
これが「顔のほてり」「頭ののぼせ」「突然の発汗(特に上半身)」など、いわゆるホットフラッシュにつながるのです。
このとき、上半身を冷やすだけでは、その場しのぎにしかなりません。本質的には、 下半身・骨盤内の血流を促し、「血を下に戻す」意識 が大切です。下半身の血流が改善されることで、上半身への不自然な血液集中が和らぎ、ホットフラッシュも軽減されやすくなります。
▶ セルフケアアプローチ
- 股関節ストレッチやスクワットなどの軽い運動
- よもぎ蒸し・半身浴・骨盤周囲の温め
- 便秘傾向のある方は腸の動きを意識したケアも
頭痛・めまい・耳鳴り・倦怠感・不眠・情緒不安
これらは、自律神経系のアンバランスから来る症状です。
更年期によりエストロゲンの分泌が急減すると、脳の視床下部(自律神経・体温調整・感情のコントロールなどを司る部位)が不安定になります。また、骨盤周囲の血流が低下した分、体は血圧や血流を調整しようとして自律神経に過度な負担をかけます。こうした不調をそのままにしておくと、体全体のバランスはさらに崩れ、慢性的な不調に陥る危険があります。
▶ よくある身体的所見
- 頭皮の赤み
- 肩の緊張
- 浅く早い呼吸
▶ セルフケアアプローチ
- 脱力系の呼吸エクササイズ(背中を丸めて深呼吸)
- 電気やスマホの刺激を減らす
- 寝る前の照明を暗くする・睡眠時間の確保
肩こり・腰痛
肩こりや腰痛が強まる背景には、肝臓・腎臓の負担が関係しているケースがあります。
東洋医学では、生理を『血の排泄』=『体内に溜まった不要な血液をデトックスする行為』とも捉えます。
閉経によりこの排泄ができなくなると、肝臓や腎臓がその分の浄化を担わなければならず、結果的にその周囲の筋肉に緊張が起きてしまうのです。
▶ セルフケアアプローチ
- 胸郭や横隔膜を動かす深い呼吸
- お腹を温めるホットパック
- 脇腹のストレッチ
- 食べ過ぎ・夜遅い食事の見直し
動悸・息切れ・関節痛
このケースでは、脾臓の機能的負担が関連している可能性があります。
更年期後、今まで月経で排出していた『古い血』を排出しなくなったために、体内で赤血球の処理が必要となり、脾臓の仕事量が増えます。
その結果、酸素運搬がうまくいかなくなり、動悸や息切れ、筋肉や関節の循環不良が起こりやすくなるのです。
▶ セルフケアアプローチ
- 骨盤のゆがみを整える整体・セルフケア
- 体の左側を温める(脾臓の血流を補助)
- 鉄分・ビタミンB12・葉酸などの補給
更年期症状は、体の「流れ」の問題
私たち整体師の臨床現場で感じるのは、多くの症状は「どこか一箇所が壊れている」わけではなく、体の流れが滞っていることがほとんどだということ。
- 骨盤の血流低下 → 上半身ののぼせ
- 排泄できない血の蓄積 → 肝・腎の負担 → 肩こり・腰痛
- 自律神経の過負荷 → 倦怠感・不眠・不安感
- 脾臓の処理能力オーバー → 動悸・関節痛・息切れ
これらの連鎖は、ホルモンだけではなく血流・臓器の働き・筋肉のこわばりと密接につながっています。
上記どれかに当てはまるという訳ではなく、基本的には上記が絡み合った結果です。
整体という選択肢:症状の根本にアプローチする方法
西洋医学ではホルモン補充や投薬による対処が中心ですが、整体では「症状を引き起こしている根っこ」に注目します。
- 骨盤や股関節の柔軟性を取り戻し、下半身への血流を促す
- 内臓の位置や動きを調整し、臓器の負担を軽減する
- 背骨や肩甲骨まわりの可動域を広げ、自律神経の安定を図る
- 筋膜や深部筋へのアプローチで、体の流れを滑らかにする
その結果、ホットフラッシュや肩こり、めまい、不眠、冷え、倦怠感といった不調が改善するケースも少なくありません。
今、できること
更年期の症状は、「ただの年齢のせい」ではありません。
体は常に変化していて、それにどう付き合っていくかが大切です。
体に今起きていることを正しく理解し、血流・姿勢・内臓・神経を整えていく。
それが、薬に頼りきらずに生活の質を保つヒントになるはずです。
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