更年期障害を整体的に読み解く|骨盤・内臓・自律神経から症状の背景を探る

今日のテーマは「更年期障害」。 しかしこの記事では、 ホルモンの話を中心にはしません。
(もちろんホルモンは重要ですが、それだけでは足りないからです)

私が伝えたいのは、 整体師・あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師・柔道整復師がどのように症状の背景を読み解く視点を持つか、 そして更年期の不調を「身体の全体像」からどう理解するかということ。

技術よりも、考え方。 手順よりも、洞察。 今日はそんな視点トレーニングを兼ねたコラムとして読んでいただけたら嬉しいです。

目次

更年期を「ホルモンだけ」で見る限界

更年期といえば、女性ホルモンの減少。 ここだけに注目してしまうと、

  • ホットフラッシュ
  • イライラ
  • 倦怠感
  • 寝つきの悪さ
  • 体の火照り

といった症状が、どれも「ホルモンのせい」でまとめられてしまいます。 でも現場にいる施術家なら気付いているはずです。

同じホルモン変化でも、症状が強く出る人とほとんど出ない人がいる。

その差はどこで生まれるのか? ここに整体的視点を入れると、一気に読み解けるようになります。

骨盤循環の低下:更年期の隠れたキーポイント

更年期の女性の多くに共通して見られるのが、 骨盤内の循環の悪さです。

・座りっぱなし ・出産での骨盤ダメージ ・冷え ・運動不足 ・腹圧低下

こうした要因が積み重なり、骨盤周囲の血流は年齢とともに落ちていきます。

■ 骨盤循環が低下すると何が起きる?

  • 下腹部の重さ・冷え
  • 腰のだるさ
  • 足のむくみ
  • お尻の筋緊張

これらは更年期の自律神経の乱れと結びつきやすく、 ホットフラッシュや倦怠感にも影響を与えます。

つまり更年期障害は、 「ホルモン × 骨盤循環」の掛け算で現れる場合が多いのです。

内臓(肝・腎・脾)の負担を読み解くと、更年期の輪郭が見える

更年期の不調には、3つの臓器の『疲れ』が関わりやすいです。

① 肝(ストレス処理・血の巡り)

イライラ、のぼせ、頭痛、肩こり。 これらは肝のストレス処理が追いついていないサインです。

② 腎(ホルモン・自律神経・冷え)

疲れやすい、下半身の冷え、腰のだるさは腎のテーマ。 更年期との関連が深く、体力低下とセットで現れます。

③ 脾(消化・気血の生成)

胃腸の不調、食後の眠さ、むくみ、甘いものの欲求。 このあたりは脾の働きが落ちているサイン。

更年期はホルモン変化が引き金ではありますが、 実際の症状は 「どの臓器が弱っているか」で変わってきます。

自律神経の揺れ:更年期に起きる「ブレ」を読み解く

更年期で特徴的なのが、 自律神経の過緊張・揺れ・切り替わりの悪さ。

ホルモンの指令塔である視床下部が刺激され、 自律神経のON/OFFがうまくいかなくなるためです。

■ 自律神経が揺れるとどうなる?

  • ホットフラッシュ(交感神経の暴走)
  • 倦怠感(副交感の働き低下)
  • 呼吸が浅くなる
  • 不安感・イライラ
  • 睡眠の質の低下

ここに骨盤循環・肝腎脾の負担が掛け算されることで、 更年期の症状の個人差が生まれます。

症状の背景を読む:施術家としての「視点トレーニング」

ここからが、 整体師・あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師・柔道整復師として最も重要な部分です。

更年期の症状を「ホルモンのせい」で終わらせないこと。

技術より先に、背景をどう読むか。 日頃その視点で取り組むことによってあなたの施術は変わってきます。

■ 更年期症状の背景にある3つの読み取りポイント

  • ① 骨盤の循環がどれだけ落ちているか?
  • ② 肝・腎・脾のどこに負担が偏っているか?
  • ③ 自律神経は過緊張か?切り替わり不良か?

この3つを押さえると、 更年期の症状は立体的に理解できるようになります。

症状を「点」で捉えるのではなく、
背景を「面」で読み解く。 これが、これからの施術家に欠かせない視点です。

まとめ|視点が変われば、施術が変わる

更年期障害はホルモンの問題だけではありません。 骨盤循環、内臓の疲れ、自律神経の揺れ…。 その人がこれまで生きてきた積み重ねが、症状として現れます。

施術家として大切なのは、

・どこに負担が集まっているのか
・なぜそこが疲れているのか
・なぜ今その症状が出ているのか

を読み解く力です。

筋骨格の技術だけでは届かなかった領域が、 内臓・神経・循環の視点を持つことで一気につながり始めます。 そして視点が変われば、施術も変わります。

このコラムが、あなたの視点の種まきになれば幸いです。 次回も、症状の背景を読み解く視点トレーニングをお届けします。

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