「朝起きたら痛い」「仕事が終わる頃に痛む」「いつも痛い」など、
人によって痛みを感じるタイミングは様々です。
私たち整体師にとって、この「どの時間帯に痛みを感じやすいか」は、非常に大切な情報になります。
なぜなら、痛みの出るタイミングによって、関係している原因や体の状態が見えてくるからです。
今回は、よくあるケース別に、「なぜその時間帯に痛みが出やすいのか?」を解説していきます。
※すべての方に当てはまるわけではありませんが、「そういう可能性が高い」という観点でご覧ください。
① 朝起きたときに痛む
朝起きた直後の痛みには、主に3つの要因が考えられます。
1.「動かないこと」による筋肉のこわばり
睡眠中は長時間、同じ姿勢で体を動かしません。
特に痛む部位の筋肉は、動かさないことでさらに硬くなりやすくなります。
また、無意識に体に力が入ったまま寝ているケースもあります。
それは「日中のストレス」や「筋肉のアンバランス」が関係していて、寝ていてもリラックスしきれていない状態です。
2. ベッド・布団の経年劣化
ベッドや布団を何年も使い続けていると、特にお尻のあたりがへこんできます。
見た目には分からなくても、横から見ると骨盤が沈み、腰が反るような姿勢になっていることがあります。
そうなると、腰に負担がかかって朝の腰痛を引き起こす原因に。
一般的には、マットレスは長くても10年程度で買い替えが推奨されています。
3. 冷えによる血流不足
寝ている間に足元が冷えてしまうと、下半身の血流が滞り、冷えた血液が心臓に戻る途中で「腰」や「お腹」を通ります。その際に腰周囲の筋肉が冷えて硬直し、痛みに繋がることがよくあります。
冷えによる腰痛や、肩の可動域制限(いわゆる五十肩)などは、このケースが多く見られます。
② 夕方・仕事終わりに痛む
夕方や1日の仕事が終わった頃に痛みが出る場合、
その背景には「体の疲労」と「神経の切り替え」が隠れています。
職種によって、痛みの出方も異なります。
1. 肉体労働・立ち仕事の場合
日中ずっと動き続けている方は、単純な筋肉の疲労や、同じ動作の繰り返しによる『酷使』が原因のひとつです。
特に腰や背中、臀部に痛みを訴える方が多く見られます。
おすすめの対策として、仕事前に「軽く腹筋」をしておくと、腰の安定感が増して、痛みが出にくくなることもあります。
2. デスクワーク・座りっぱなしの仕事の場合
このタイプの方は、仕事中に緊張モード(交感神経優位)になっていて、
仕事が終わったタイミングでリラックスモード(副交感神経優位)に切り替わる際に、
「痛み」や「頭痛」などの症状が出やすくなる傾向があります。
長時間同じ姿勢+精神的な緊張のダブルパンチにより、自律神経が乱れやすくなるのが特徴です。
③ いつも痛い/時間に関係ない
・神経痛
何かの拍子に神経を圧迫してしまった場合、基本的に常に痛いという感覚が残ることが多いです。
特に「動くたびにビリッとする」「しびれる」ような痛みがある場合は、
神経への物理的な圧迫(ヘルニアや狭窄など)を疑う必要があります。
・自律神経の乱れによる痛み
「特に決まった時間帯はないけど、突然痛くなる」という方は、
気温・気圧・湿度などの外的環境の変化に体が過敏に反応してしまっているケースがあります。
本来、自律神経がうまく働いていれば、環境の変化にも順応して問題ないのですが、
交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかないと、急な体調不良や痛みとして現れます。
この場合、原因がハッキリせず、気分も落ち込みやすくなるのが特徴です。
【補足】特定の時間帯に起きる「内臓性の痛み」も
例外として、「毎日13〜14時や18〜19時になると決まって背中やお腹が痛む」という場合は、
消化器系の炎症の可能性があります。時間帯が大事なのではなく、「食後に起こりやすい」といったことが考えられます。
このようなケースでは、整体ではなく「内科・消化器科」の受診をおすすめします。
■ まとめ
痛みは「その瞬間の辛さ」に目が行きがちですが、
実は「いつ起きやすいか」というタイミングを把握することで、
体の内部で起きていることや、不調の背景が見えてきます。
整体では、ただ痛みのある場所を見るのではなく、
その痛みが 「なぜ今起きているのか」 を探ることを大切にしています。
あなた自身も「どのタイミングで痛みが出やすいか?」に少し意識を向けてみてください。
そこに、回復へのヒントが隠れているかもしれません。


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